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いつからかスポーツが一番になった

スポーツを一番に考える、SPORTS FIRST な想いを持った
ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

ランニングとは、道筋をつけていくこと 森山俊介

2022.12.16

ゴールドウイン販売本部 販売一部 エリア長の森山俊介さんは、フルマラソンサブスリー(3時間切り)を達成しているシリアスランナーだ。

だが、意外にも学生時代の陸上経験はない。それどころか走り始めたのもほんの数年前のことだという。きっかけは、今は中学1年生と小学4年生に成長した2人の子どもに「何かをコツコツと続ける背中を見せたかったから」だった。

気が向かなかったからこそ、続けることに意味がある

「ずっとアパレル販売の仕事に携わっていて、ゴールドウインへと転職したのが8年程前。しばらくは関東エリアに勤務していたのですが、2018年に京都の店舗で勤務していたタイミングが転機になりました。子どもたちから、なんとなく自分の背中を見られているような気がしたんです」

幼児から成長した子どもたちに、「勉強しなよ」「毎日コツコツやらないと」と伝えてはみるものの、自分でもどこかピンと来ない。自問してみると、しっくりと来ない原因は、親として自分自身が何かにコツコツとチャレンジしていたかどうか、だった。

「それじゃ説得力ないよな、って。そこで走ってみることにしたんです。汗をかくことが好きじゃなかったので、気が向かないことだからこそ向き合ってみよう、と」

ランニングであればフィールドや時間を問わず、一人でもできる。加えて国内屈指のランニングスポットである大阪城の近くに住んでいたこともよかった。仕事終わりに走る環境が整っていたのだ。

健康や体型維持、あるいはリフレッシュのためでなく、続けることが目標だったので、雨が降ろうと風が吹こうと、天候に左右されず走り続けた。実はそれは今も変わってはいない。続けていくと距離が踏めるようになるので、自然と「大会に出てみようかな」と思うようになった。

その大会が、2018年の〈富山マラソン〉だ。

「人生で一回くらいフルマラソンを完走してみたい。バケツリストにあるぼんやりとした好奇心から走ってはみたものの、それまで経験していた最長距離の倍以上だったこともあり、結果は惨憺たるものでした。途中から歩いてしまい、キツいし不甲斐ないしで、そこからですね、スイッチが入ったのは」

結果に向き合い、正しい努力を

数か月後には早くも2度目のフルマラソンを走る。このとき事前のトレーニング段階でこなしていたペースから「3時間を切れてしまうのでは」との期待を胸に挑むも、35km以降に急ブレーキがかかって3時間を4分ほどオーバーしてしまう。自分なりに研鑚して努力も量も重ねていたのに、いったい、なぜ。

「それがもう一つの転機で、努力の仕方を変えてみることにしました。具体的にはランニングチームの門扉を叩くことにしたんです。そのチームは元々実業団で陸上をしていた方が主宰していて、希望すれば個別のトレーニングメニューも組んでくれるところがマッチしました」

毎日走るという努力ではなく、走らない日も設けるという、よりより結果を出すための正しい努力を。その道のプロフェッショナルの声に耳を傾けてみたら、あっさりとサブスリーを達成することが出来た。

「学んだのは、強度の高いトレーニングと低いトレーニングのメリハリをつけること。ポイントとなる練習の日があるので、それ以外の日はその日に照準を合わせて行く感覚です。月に2~3回ほど、メンバー10名前後で集まってトレーニングをするのですが、それがまた面白くって」

だから、マラソンは個人競技だと思っていたけれど、団体競技的な側面もあると実感している。

「誰かの背中を追いかけるだけで力量以上のスピードで走れてしまいますし、応援の力で不思議とストライドも伸びる。コーチやトレーニング仲間に見てもらうことで客観的なアドバイスが得られる。それが全部レースに活きて、結果に繋がりますから」

2時間50分切りを目指して

森山さんの日々の業務は多岐にわたる。原宿や大手町、二子玉川など商圏人口の大きな販売エリアが担当なので、各店舗を足繁く回り、店舗運営や売り上げの施策、リスクマネージメント、店長を含むスタッフの育成やサポートなど、他者とのコミュニケーションがその中心にある。

「いろいろな部署があって一つの会社として成り立つ中で、今の自分にはこの職務が合っていると感じています。人との関わりにダイナミズムを感じるんですよね。誰かの変化や成長を直に感じられ、その場に携われているということが」

ランナーとしては、今シーズン中のフルマラソン2時間50分切りが目標だ。年末に行われる、自己ベスト更新率が日本一高いとされる〈Beyond 2022〉で2時間50分切りのペースを身に付け、2月に行われる陸連公認のビッグレース〈別府大分マラソン〉をターゲットにしている。

「走力的なポテンシャルはあると感じているので、あとは体調管理やピーキングがカギになると思っています。そうした試行錯誤を含めて、自分にとってランニングとは、道筋をつけることのようだという感覚があります。仕事もそうなのですが、さまざまなプロセスを経て、成果や結果に繋がるところが。そこではマネジメントが大事で、数々のプランを定めてDOしていきます。その中で人との関わりがあって、目標に向かっていくんですよね」

いい結果が出ても、出なくても、自分と向き合えるところにまたやりがいがある。結果受けて、ブラッシュアップして、また新しいアクションを起こす。だからエキサイティングなのだと、身を乗り出して語ってくれた。

「その意味でも、走ることは仕事に活かせるんじゃないかと思っていますし、仕事も走ることに活かせています。こうして出た成果は、自分で認めるより、コーチや仲間が評価して喜んでくれたらなおのこと嬉しいですね」

さしあたっては夢中になっているこのランニングを続けていくことが目標だ。加えて、その姿や普段のコミュニケーションを通じて、森山さんの子どもたちが何かに向き合って粘り強く続けることに繋がるとしたら、きっと最高だろう。

「それから、今後機会があれば他のランナーをサポートする側にも携わってみたいと思っています。レースに出る仲間のペーサーや補給の補助など、強くしてもらったことを次のランナーに恩返ししたいですね」

撮影協力:C-Shine

(写真 古谷 勝/ 文 礒村真介)

  1. 森山俊介(もりやま・しゅんすけ)
    1982年生まれ。大学までバスケットボール部に所属。2014年ゴールドウイン入社。現在は販売本部販売一部のエリア長を務め、新規オープンした〈The North Face Sphere〉などランニングの専門色の強い店舗のマネージメントにも関わっている。マラソン歴4年で、ベストタイムは2022年4月の〈かすみがうらマラソン〉で記録した2時間53分。

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