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究極の生涯スポーツ! ディスクゴルフの遊び方、教えます

2022.01.20

大人も子どもも高齢者も。みんなが気軽に楽しめる

ディスクゴルフとは、フィールドに設けられたバスケット型の専用ゴールにフライングディスクを投げ入れ、何投でゴールできるかを競う、アメリカ発祥のスポーツです。本場ではコロナ禍にあってプレーヤー人口が激増中といい、いまや注目度No.1の競技なのです。

「何千というコースが各地に点在するアメリカのプレーヤー人口は、現在15万人超と言われており、コロナ禍以前から5倍以上の伸びを見せています。屋外で行うスポーツで適度なディスタンスを保て、家族全員で取り組める。こうした特性が幅広い層に支持されているようです。コースの数が少ない日本の競技人口はアメリカの比ではありませんが、大学の授業でアルティメット(フライングディスク競技の一種)を経験した若い人たちがディスクゴルフを始めるという現象が生まれています」(有限会社ディスクスポーツ横田浩さん)

手軽に、家族みんなで取り組めるスポーツを……という方にこそおすすめしたいディスクゴルフ。今回は、8年前から競技にのめり込んでいるという〈THE NORTH FACE+ グランフロント大阪〉スタッフの南村明香さんにディスクゴルフのいろはを教わります。

ディスクゴルフはゴルフと同様、全18ホールのトータルスコアで競います。各コースにはそれぞれの難易度に応じた規定投数(パー)が設定されています。ディスクの遠投力やコントロール力、パット時の集中力に加え、フィールドには自然の地形を生かした木立やヤブ、道路や川などのOB区域があり、コース取りの戦略性が重要になるのはいうまでもありません。ディスクは投げても転がして(ローラースロー)も、障害物に当てて弾ませて(スキップスロー)もOK。ちなみにフライングディスクの飛行性能は重さ、形状によって異なり、シーンによってスローやディスクを使い分ける面白さもあります。

ディスク

ディスクゴルフに用いるディスクは一般的なフライングディスクに比べると直径が小さく、薄く、その割に重量があります。どれも同じように見えるかもしれませんが、ボールゴルフのクラブ同様、さまざまな種類があります。長距離用の「ドライバー」、中距離用の「ミッドレンジ」、「パット&アプローチ」の3つに大別されますが、その中でも材質と形状により飛行性能が異なります。まずは自分に合ったディスクを見つけることが大切ですが、その際は「まっすぐに投げられるか」を目安に探してみてください。

左は「パット&アプローチ」、中央に「ミッドレンジ」、右の尖っているものが「ドライバー」

エッジの尖った「ドライバー」で長距離を飛ばしたくなるかもしれませんが、きちんと遠くまで飛ばすにはそれなりのテクニックやスピードが必要となります。初心者におすすめなのはビギナー向けの軽量モデルや、エッジが丸い「パット&アプローチ」。まずは初心者用のディスクで練習してみてください。

持っていると便利なもの① ディスクゴルフバッグ

競技を始めると飛行性能の異なるディスクをいくつも揃え、場面ごとにディスクを使い分けるようになります。試合ともなると20枚以上のディスクを持ち歩くことに。そんなときに便利なのが専用のバッグです。バッグパック型とショルダーバッグ型を中心に、モデルによって10〜25枚前後のディスクを収納可能。バッグにはディスクのほか、競技中に摂る飲み物や行動食を入れています。場合によってはフォールディングスツールや大型の傘を持ち運ぶことも。

持っていると便利なもの② ディスクゴルフチェア

スローの間の待機時間が長いディスクゴルフでは、フォールディングチェアがあると便利! 体力の温存になります。フライングディスクメーカーが販売しているチェアは、立ったり座ったりの動作が容易な絶妙な高さに設定されており、長丁場の試合で重宝します。アルミ製なので軽量なうえ、持ち運びしやすいようストラップがついています。

ウエアとシューズ

ウエアもシューズも特に指定はありません。ヤブの中に入ったり、木の後ろから不自然なポジションでスローしたりという場面も多いので、ウエアはある程度の耐久性と動きを妨げない作り・生地のものがいいでしょう。私は、トップスにはストレッチ性のある薄手のウエアを着用しています。パンツは、〈THE NORTH FACE〉の名品、アルパインライトパンツ一辺倒。

ポイントはシューズです。長時間歩いても快適で、グリップの効きやすいシューズがおすすめ。特に横の動きに強いソールパターンがいいですね。トレランシューズやトレッキングシューズを履いている方が多いです。私は接地面積の大きいタイプが好きで、〈THE NORTH FACE〉の少し前のモデルのトレッキングシューズを履いています。

プレイ方法

通常は4人1組でラウンドします。1投目はティーラインの後ろから、2投目以降はディスクが止まった地点にマーカーディスクでマークをし、そこからスローします。スタートホールのティーショットはスコアカードに記入された名前順に投げます。2投目以降はゴールまで遠い人からの順になります。2番ホール以降のティーショットは前のホールでスコアの良かった順に投げます。木の上でディスクが止まった場合はその真下からスローを行います。障害物などによりディスクが止まった地点でスローできない場合は、ゴールとディスクを結ぶラインの、ディスク後方から投げることができます。ディスクがバスケットに収まるかチェーンに絡まって静止したらホールアウトです。

投げ方

はじめに基本のバックハンドスローをマスターしましょう。最も使用頻度が高く、かつディスクのコントロールがしやすい投げ方になります。

①人差し指をリム(ディスクの縁)におきます。
②親指はディスク表面に。
③残りの3本はディスクの裏側に添えます。

④目標に対して身体を真横に向けます。右利きの人は右手でディスクを持ち、右足を前に。左利きの人はその反対に。
⑤手首を曲げてディスクを巻き込むように持ち、ディスクを持った肘を目標に向けて水平に振り抜くようなイメージで投げ出します。

ルールとマナー

他のプレーヤーがスローするとき、そのプレーヤーより前に出てはいけません。しゃべらず静かに、後方で待機します。自分がスローするときは30秒以内にスローします。競技中、プレー以外の目的で5m以上のスローは禁止です。練習スローとみなされ1ペナルティが課せられます。

OB、ペナルティ

OB区域内にディスク全体が止まったらOBとなり、1ペナルティが課せられます。次のスローは、OBラインを通過した場所から1mまでのコース内、もしくは直前のスロー地点から行います。OB専用のドロップゾーンがある場合はそこから投げることが可能です。もしディスクが見つからなかった場合、3分以内に見つけないとロストディスクとなり、1ペナルティが課せられます。次のスローはロストする直前に投げた地点から行います。なお、ロストした場合はグループ内のすべてのプレーヤーでディスクを探します。

練習方法

コースに出るのがいちばんの練習ですが、まずは近所の公園でフリスビーをするだけでも十分。ディスクに慣れることから始めて、慣れてきたら「パット&アプローチ」のディスクを使って目標物に当てる練習を行い、ディスクのコントロール力を養いましょう。

コース

現在、日本には北は北海道から南は沖縄まで、50を超すコース(日本ディスクゴルフ協会公認)が常設されています。

ボールゴルフの場合、用具を揃えるハードルの高さがありますが、ディスクゴルフはプレイヤーがディスク一枚を持ってさえいればプレイできる、そんな気軽さがあります。初心者同士ならまったく同じレベルからスタートできますし、家族連れでプレイしてみたら子どものほうが大人より断然うまかった、なんてケースも。さらには、コースに出るとトッププロと遭遇するチャンスも! プロ選手と触れ合ったり、彼らのパフォーマンスを間近にプレイできるのはディスクゴルフの醍醐味といえるかもしれません。

南村さんと話すのは、日本選手権10連覇中の梶山学プロ
「ディスクゴルフのいいところは、子どもから高齢者までが同じグループでプレイできるところ。まずはディスク1枚あればプレイできるのも手軽でいいですね。自然の地形を活かしてプレイするうえ、ゴールの設営・撤去も簡単で原状復帰が容易。つまり環境負荷が低いところもいまの時代にマッチしていますよね」

ここまできたら、実践あるのみ! 次の週末、フライングディスクを持ってコースへ出かけてみましょう。

  1. 南村明香(みなみむら・はるか)
    大阪府出身。高校時代、ヨット同好会に所属していたことをきっかけに、卒業後〈HELLY HANSEN〉に入店。以降、〈Victorinox〉、〈THE NORTH FACE〉と渡り歩いてきたベテラン販売スタッフ。8年前、フライングディスク競技(フリースタイル)に取り組むゴールドウイン社員に誘われ、ディスクゴルフを初体験。以来、“フリスビーばか”を自称するほど競技にのめりこみ、年間6戦ほどの大会に参戦している。現在の目標は「投げられなくなるまでディスクゴルフを続けること」

(写真 田辺信彦 / 文 倉石綾子)

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