PEOPLE running 提案するのは、日常生活にランのあるライフスタイル 佐々木佑樹 2021.12.27 twitter 高校卒業後の進路にスポーツの専門学校を選ぶほど、体を動かすことが好きだったというNEUTRALWORKS.TOKYOの店長・佐々木佑樹さん。ゴールドウインに入社してからは、トレイルランニングやウルトラマラソンにのめり込む。今の店舗に異動して、日常にランを取り入れたライフスタイルへと変わった。そんな彼が、ふたたびウルトラマラソンに挑む。その決意の裏側にある思いとは。 スポーツ専門学校時代に初フルを完走 幼少期から地元・岩手県宮古市の美しい海を泳いだり、魚釣りにいそしんだり、自然のフィールドを楽しんできた。中学・高校時代は、陸上部と野球部を兼任。部活に明け暮れる日々を送った。そして、スポーツの専門学校に進学。トレーニング、スポーツ全般にトライし、栄養学や解剖学も学んだ。 「勉強はあまり得意ではなかったんですが、体を動かすことはずっと好き。将来はスポーツの方面に進めたらと思い、在学中にエアロビクスのインストラクターとNSCAというパーソナルトレーナー資格を取りました」 フルマラソンとの出合いは、この専門学校時代。ゼミで42.195㎞を走ることになったのだ。元陸上部なだけあって、走ることは得意という自負があった。前向きな性格も相まって、「やってみたことがないから楽しそう」と直感した。見事約3時間半で完走したが、走っている間はひたすらしんどかったと振り返る。 「自分との〝我慢比べ〟でしたけど、走り切った瞬間から、楽しかったという気持ちに変わったんです。それからは、どんどん長い距離を走るようになって、42.195㎞以下の距離の大会には一切出なくなりました。地元のおいしいものをエイドで食べながら、ゆっくり走れる長距離が性格にあっていたのかもしれません」 入社後、トレランやウルトラマラソンに魅せられる ゴールドウインに入社してから、THE NORTH FACEがスポンサードしているSTYに「興味本位で」出場。静岡から山梨までの71㎞を見事完走した。翌年には、167㎞のUTMFに出るが、40㎞ほどでリタイアしまう。めげずに次の年も出場したが、その年は45㎞ほど走ったところで、台風で大会自体が中止になった。しかし前年にリタイアしてもなお、再び挑戦しようと思った理由は何だろう。 「最初のUTMFは、暗い山道を走ることも初めてでしたし、体調もよくなくて、とにかく眠かったんです。眠りながらいつの間にか進んでいたという感じで、レース中の記憶がないというのが正直なところ。それでもシンプルに楽しかったんですよね。小さい頃から自然と、体を動かすことは楽しいと脳に刷り込まれているんだと思います。その時、完走できなかった原因だった眠さや体調不良を克服したら、もっと楽しく走れるだろうなと思って、食べ物など一つひとつ研究するようになりました」 さまざまなトレイルランニングやウルトラマラソンの大会に出るようになったが、コースの8割はしんどさと戦い、ゴールした時の一杯やご飯を思い浮かべながら走っていると打ち明ける。それでも、ゴール近くになれば『行ける、頑張ろう』と自分を鼓舞し、ゴールした時には他では味わえない充実感で満たされる。 「あんなにつらかったのに、すぐに『次は何に出ようかな』と考えているんですよね。レースに行くと、ほぼ必ず他のお店のスタッフがいるんですよ。知った顔を見ると『みんな頑張っているから、僕も踏ん張らなきゃな』と刺激を受けます。ライバル心も少し、あるかもしれません(笑)」 30歳の節目で、離れていたウルトラマラソンに復帰 佐々木さんは、仙台でTHE NORTH FACEの路面店と百貨店を3年経験した後、昭島の森パークアウトドアヴィレッジのオープンに合わせて上京。1年後、NEUTRALWORKS.TOKYOへ。NEUTRALWORKS.HIBIYAを経て、店長としてNEUTRALWORKS.TOKYOへ戻ってきた。この遍歴が、ランへの向き合い方にも大きな変化をもたらした。 「仙台から引っ越す時、まったく東京に土地勘がなく、渋谷や新宿と同じくらい大都会だと思って八王子に住みました。いざ来てみると、外苑前のお店までだいぶ遠かったんですけど(笑)、40kmくらいの距離を走って帰ったり、近くの高尾山でトレーニングしたり、結果オーライのいい環境でしたね。ただ、NEUTRALWORKS.のショップに立つようになってだんだんと、気張って練習するのではなく、お店に来てくださるお客様と近い、日常生活の中にランがあるライフスタイルに自分自身のランスタイルをシフトしたんです。今は、平日に週2・3回30分くらい、週末は1時間くらい走っています」 その結果、大会に出ることだけが目標ではなく、コンディショニングとして仕事前や仕事後に30分くらい走りたい。そんなお客様の需要に対して、ランにも仕事シーンにも着られるウェアを、自信を持って提案できるようになったという。 「より多くのお客様に、スポーツのある生活を送っていただきたいという想いがあります。そのヒントに自分の経験がなれば嬉しいですね。自分自身がお客様の経験から学ぶことも多いですし、お話の中に出たワードから新しい提案をして喜んでいただけるのが、接客の醍醐味です」 実は、来年4月に開催されるチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンにエントリーすると心に決めている。富士五湖すべてを巡る、総距離118㎞のコースだ。いったんは離れた大会に、約3年ぶりに復帰しようと決意した。 「富士五湖は一度チャレンジして、95㎞くらいでリタイアした大会で、いつかまた出てリベンジしたいとずっと思っていました。なかなか踏ん切りがつきませんでしたが、2022年に30歳の節目を迎えるので、今だと。久しぶりの大きなチャレンジに対してまた熱くなれたら、一皮むけて何か新しい自分が見えてくるんじゃないかと、今からワクワクしています」 佐々木佑樹 1992年生まれ。岩手県出身。中高時代は陸上部と野球部を兼任。スポーツ専門学校へ進学し、エアロビクスインストラクターやNSCA認定パーソナルトレーナーの資格を取得。卒業後は、THE NORTH FACEのファンであったことからゴールドウインに入社し、百貨店や路面店で接客業を続けてきた。入社後1年を過ぎた頃から、トレイルランニングやウルトラマラソンに挑戦。NEUTRAL WORKS.を担当するようになってからは、日常の中で走る生活に変わったが、22年、チャレンジ富士五湖ウルトラマラソンを走る予定。 (写真 水上俊介 / 文 小泉咲子) twitter RANKING SPOTLIGHT ラグビーが100倍楽しくなる、ビギナーのための観戦TIPS KNACK 500mmは広角レンズ!? 野鳥撮影の奥深きギアを紹介 PEOPLE 自分で作ったスノーボードで雪山へ 千葉亜紀子 KNACK 究極の生涯スポーツ! ディスクゴルフの遊び方、教えます PEOPLE スポーツがなかったら、私は死んでしまうと思います。 縄田知明(GOLDWIN)
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