
高校卒業後の進路にスポーツの専門学校を選ぶほど、体を動かすことが好きだったというNEUTRALWORKS.TOKYOの店長・佐々木佑樹さん。ゴールドウインに入社してからは、トレイルランニングやウルトラマラソンにのめり込む。今の店舗に異動して、日常にランを取り入れたライフスタイルへと変わった。そんな彼が、ふたたびウルトラマラソンに挑む。その決意の裏側にある思いとは。

幼少期から地元・岩手県宮古市の美しい海を泳いだり、魚釣りにいそしんだり、自然のフィールドを楽しんできた。中学・高校時代は、陸上部と野球部を兼任。部活に明け暮れる日々を送った。そして、スポーツの専門学校に進学。トレーニング、スポーツ全般にトライし、栄養学や解剖学も学んだ。
「勉強はあまり得意ではなかったんですが、体を動かすことはずっと好き。将来はスポーツの方面に進めたらと思い、在学中にエアロビクスのインストラクターとNSCAというパーソナルトレーナー資格を取りました」
フルマラソンとの出合いは、この専門学校時代。ゼミで42.195㎞を走ることになったのだ。元陸上部なだけあって、走ることは得意という自負があった。前向きな性格も相まって、「やってみたことがないから楽しそう」と直感した。見事約3時間半で完走したが、走っている間はひたすらしんどかったと振り返る。

入社後、トレランやウルトラマラソンに魅せられる
ゴールドウインに入社してから、THE NORTH FACEがスポンサードしているSTYに「興味本位で」出場。静岡から山梨までの71㎞を見事完走した。翌年には、167㎞のUTMFに出るが、40㎞ほどでリタイアしまう。めげずに次の年も出場したが、その年は45㎞ほど走ったところで、台風で大会自体が中止になった。しかし前年にリタイアしてもなお、再び挑戦しようと思った理由は何だろう。
「最初のUTMFは、暗い山道を走ることも初めてでしたし、体調もよくなくて、とにかく眠かったんです。眠りながらいつの間にか進んでいたという感じで、レース中の記憶がないというのが正直なところ。それでもシンプルに楽しかったんですよね。小さい頃から自然と、体を動かすことは楽しいと脳に刷り込まれているんだと思います。その時、完走できなかった原因だった眠さや体調不良を克服したら、もっと楽しく走れるだろうなと思って、食べ物など一つひとつ研究するようになりました」

「あんなにつらかったのに、すぐに『次は何に出ようかな』と考えているんですよね。レースに行くと、ほぼ必ず他のお店のスタッフがいるんですよ。知った顔を見ると『みんな頑張っているから、僕も踏ん張らなきゃな』と刺激を受けます。ライバル心も少し、あるかもしれません(笑)」

佐々木さんは、仙台でTHE NORTH FACEの路面店と百貨店を3年経験した後、昭島の森パークアウトドアヴィレッジのオープンに合わせて上京。1年後、NEUTRALWORKS.TOKYOへ。NEUTRALWORKS.HIBIYAを経て、店長としてNEUTRALWORKS.TOKYOへ戻ってきた。この遍歴が、ランへの向き合い方にも大きな変化をもたらした。



「より多くのお客様に、スポーツのある生活を送っていただきたいという想いがあります。そのヒントに自分の経験がなれば嬉しいですね。自分自身がお客様の経験から学ぶことも多いですし、お話の中に出たワードから新しい提案をして喜んでいただけるのが、接客の醍醐味です」
実は、来年4月に開催されるチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンにエントリーすると心に決めている。富士五湖すべてを巡る、総距離118㎞のコースだ。いったんは離れた大会に、約3年ぶりに復帰しようと決意した。

- 佐々木佑樹
1992年生まれ。岩手県出身。中高時代は陸上部と野球部を兼任。スポーツ専門学校へ進学し、エアロビクスインストラクターやNSCA認定パーソナルトレーナーの資格を取得。卒業後は、THE NORTH FACEのファンであったことからゴールドウインに入社し、百貨店や路面店で接客業を続けてきた。入社後1年を過ぎた頃から、トレイルランニングやウルトラマラソンに挑戦。NEUTRAL WORKS.を担当するようになってからは、日常の中で走る生活に変わったが、22年、チャレンジ富士五湖ウルトラマラソンを走る予定。
(写真 水上俊介 / 文 小泉咲子)