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ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

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ガイドも店頭も、好きな自然を共有できる喜びがある 安井綾

2022.05.16

慣れた足取りで渓流を遡りながら、正確無比なキャスティングでフライをポイントにプレゼンテーションする釣り人。都内からクルマで2時間もかからないことが不思議なくらいの静かな清流のほとりで、安井綾さんが竿を振っている。

生まれついてのアウトドアマン

釣りを始めたのは小学生の頃。フライフィッシングは11歳からと、早くからこの遊びを覚えた。北海道の山の麓に生まれ育った安井さんにとって、日々の遊び場は川であり、サケ科魚類は格好の遊び相手だった。山や川での立ち振舞いは、日高山脈で山岳ガイドをしていた父に教わったという。釣りのできない冬は、スキーに熱中した。生まれついてのアウトドアマンなのだ。


ORVISのリールは、フライフィッシングを始めた頃に父から贈呈されたもの。もう20年以上も、安井さんの大事な相棒であり続けている。

小中学生時代は、テレビゲームに熱中する町の同級生と馴染めず、辛い思いもしたという。部活動で始めたテニスは、球を打つのは面白かったが、勝敗を競うことには熱くなれなかった。静かな川で、野生の魚と対峙する時間、ともすれば自分自身とも深く向かい合う、そんな時間を過ごすことの方が好きだった。

自然が好き、ということが個性として認められるようになった大学時代を経て、安井さんはネイチャーガイドとして活動を始める。北海道・阿寒の豊かな自然の美しさを、訪れる人たちと共有することに喜びを感じた。20代をガイドとして北の大地で過ごした安井さんだが、いまは〈Goldwin THE NORTH FACE 神田店〉で店頭に立つ。アウトドアウェアの販売に携わって、もうすぐ5年になる。

「ネイチャーガイドをしていた頃からアウトドアギアとしてのTHE NORTH FACEはもちろん知っていましたし、ずっとスキーをやっていたので、ゴールドウインという会社にも親しみを覚えていたんです」

神田という土地柄、アウトドアで本当に使える機能的なウェアやギアを求めて店舗を訪れるお客様は数多い。だからこそ、あらゆるアウトドアアクティビティを楽しんできた安井さんの経験が活かされる。今はGoldwinブランドを中心に担当しているという。

「Goldwinのウェアはデザインやカラートーン、使用している生地など年々進化していて、僕と同年代かそれより上の世代の方に注目していただいて。とはいえ、THE NORTH FACEと比べると説明が必要なブランドでもあるので、僕も夏は登山や釣り、冬はスキーでずっとフィールドで着用して、その使用感をお客様に説明できるようにしています」

東京近郊にも恵まれたアウトドアフィールドがある

この日釣り場にやってきた安井さんの車を見て驚いた。座席がたくさんあるちょっとしたマイクロバスといった大きさで、ラゲッジスペースには釣り道具が整然と並んでいる。この愛車で休みには各地へ釣りや登山、スキーへと出かけるのだという。しかし、北海道で生まれ育ち、ネイチャーガイドをしていた彼にとって、東京近郊の自然で満足できるのだろうか?

「実は、東京の近県ってアウトドア環境に恵まれているんですよ。今日の釣り場だってそうですが、交通アクセスがいいので、2時間でいろんなフィールドに出ることができます。スキーに関しては、凍った下道を走る北海道より、東京からの方が断然クルマで行きやすいくらいです」

北海道から東京に出てくる前は、アウトドア環境に関して期待をしていなかったという安井さん。しかしアクセスの良さや、フィールドごとに違う表情を見せる山や川に自然の魅力を感じ、その固定観念を恥じたという。だからこそ、都心部のお客様がもっとアウトドアで過ごす時間を増やすために力になりたいと考えている。

「ガイドの仕事をする上での喜びは、自分が好きな風景や自然とお客様と共感できることでした。今もそれは変わっていなくて、自分の好きな製品の販売を通じて、自分の好きな自然の楽しさを共有して、喜んでもらえる。一緒なんです」

そんな喜びを広めていくために、店舗でもスタッフにはアウトドアを楽しんで欲しいという思いが安井さんにはある。定休日のある店舗だから、同僚と一緒に山に釣りにスキーにとシーズンを問わずあの大きな車で出かけ、スタッフ同士でフィールドに出ることで、製品の理解が深まり、それを共有できる良さを感じているという。スタッフ自身が全力で遊ぶことで、それが仕事にも活きてくるというわけだ。

「なので研修という形でも、店舗のスタッフみんなで山を登ったりしたいんです。アウトドアに興味があってもなかなか外に行けないスタッフもいるので、その第一歩を踏み出すきっかけになればと。きっとお客様と話すときにも、山を登ったという経験が活きてくるはずです」

釣り人の優しい表情

釣りの取材は、いつも釣り人にプレッシャーがかかる。熟練の安井さんも朝イチに、一匹目を釣り上げたかと思いきや、手元で逃げられてしまっている。申し訳無さそうな表情の安井さん。取材陣に囲まれたとあっては、本来の調子も出ないのだろう。しかし、少しずつ渓流を釣り上がっていくにしたがって、緊張もほぐれてきたのか、待望の一匹はほどなくして安井さんの竿を曲げた。きれいなイワナがネットに収まった。

「いや、ほっとしました」

そう言ってはにかむ安井さん。釣れた魚の撮影中、とにかく魚が水から出ないように、いたわるように接していたのが印象的だった。

「サケ科の魚が大好きなんです。形が格好良くて色が綺麗で、それぞれに個体差がある。体についた細かな傷跡もじっくり見ちゃいますね。増水があって、砂が当たって傷ついたのかな、そうやって年数を生きてきたんだろうなって想像するんです」

その慈しむような優しい目で、釣り上げたイワナが元気に上流へと泳ぎ始めるまで見守っていた安井さん。それは真に自然を愛する人の目だった。

(写真 田辺信彦 / 文 小俣雄風太)

  1. 安井綾(やすい・りょう)
    北海道出身。日高山脈で山岳ガイドをしていた父の影響で、幼少期より山や川に親しむ。疑似餌で魚が釣れることに感銘を受け、11歳からフライフィッシングにのめり込む。20代を北海道でネイチャーガイドとして過ごした後、上京し現在は〈Goldwin THE NORTH FACE 神田店〉で店頭に立つ。今も夏は渓流釣りに登山、冬はスキーと時間を見つけてはアウトドアで遊ぶ。好きな魚はオショロコマ。

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