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ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

娘に「パパ、すごいね」って言われる釣り人になりたい 諸石憲史

2023.11.10

ここは長崎市西部に位置する神の島町。市内中心部からのアクセスがいい神の島は、水深が深く潮の流れが早いからさまざまな魚種に出合えるといい、長崎でも有数の釣りスポットだ。特に青物の回遊が濃いそうで、県外から訪れる釣り人も少なくない。〈THE NORTH FACE+ アミュプラザ長崎店〉に勤務する諸石憲史さんにとっても、お気に入りの釣り場である。

いくつかのポイントがある神の島で、この日、諸石さんが選んだのは、地域のランドマークであるマリア観音にほど近い堤防だ。アジ、シーバス、チヌ、アオリイカなどを釣れるが、エギング(ロッドをしゃくってイカを誘い、エギを抱かせて釣り上げるというテクニカルなイカ釣り)にハマっている諸石さんは堤防の入り口から中程までの浅瀬で秋イカを狙う。堤防には、釣果の証しであるスミ跡がところどころに。

「長崎ではいま、エギングが盛んで、なかでも防波堤や地磯がいくつかあるマリア観音付近がいいんです。水深があって潮通しもよく、回遊のアオリイカに最適!」

季節的には秋イカが始まっている……はずだが、ボウズ続きの諸石さん。「ついついムキになって、毎日釣りに来ています」と苦笑い。

そんな諸石さんの釣りストーリーを聞いてみよう。

親子を結ぶ、釣りの思い出

諸石さんの釣りの原体験は、生まれ故郷・沖縄の堤防釣り。小学生のころ、父と一緒に釣竿を垂れた。高校生になって家族で佐賀県に移住したが、沖縄に戻るたびに父と釣りに出かけたのもいい思い出だ。もう一つ、当時の小学生に一大釣りブームを巻き起こしたバスフィッシング漫画、『スーパーフィッシング グランダー武蔵』も忘れてはいけない。どちらの記憶も子ども時代の諸石さんに欠かすことのできない、色鮮やかな思い出になっている。

諸石さんのお気に入りの私物。スーパーフィッシング グランダー武蔵のルアーのキーホルダー。

「社会人になり、すっかり釣りから遠ざかってしまいました。久しぶりに釣りに出かけるようになったのは、アルバイトとして〈THE NORTH FACE+ アミュプラザ長崎店〉に入店したことがきっかけです。長崎は釣りが盛んなので、お店のお客さまにも釣り人が多いんです。お客さまにポイントを教えてもらったり、『一緒に行こうよ』って誘ってもらったり」

その後、沖縄の〈THE NORTH FACE + 沖縄・浦添PARCO CITY〉店のリニューアルに伴い、沖縄に赴任。故郷での釣りを満喫しかたと思いきや……。

「魚のおいしさ、魚種の豊富さなど、ついつい長崎と比べてしまって。沖縄に来て長崎の良さをしみじみと実感してしまいました。2年前に長崎に戻ってきて、まずアジング(ルアーでアジを釣ること)にハマり、ここ1年はエギングざんまい。釣りの沼に大ハマりしています」

漁師がイカを釣るために使っていた漁具に餌木という漁具があるのだが、これをルアーフィッシング用に改良したものをエギという。エギを使うエギングは、ロッドをしゃくりあげることでエギに独特のアクションをつけ、これをイカに抱かせて釣り上げる。タックル(ロッド、リール、ライン)とエギ1つでできる手軽さと、テクニカルなおもしろさが受け、エギングはいまや全国的に人気なのだそう。

そんな諸石さんの釣りライフは、夜を中心に回っている。早番が引けたら急いで娘を迎えに行き、夕食の準備をし、娘を寝かしつけた後が本番だ。午前2時ごろまで夜釣りを楽しみ、帰宅。そんなサイクルを、多い時で週3、4回ほど繰り返す。共働きの妻とは家事を分担しているが、それでも妻に負担がかかっていると反省しきりだ。

「だからこそ、なんとしてもイカを釣って帰らねば!長崎はイカがおいしいし、何よりも妻が無類のイカ好きなんです」

釣ったイカは諸石さんが捌いて調理する。「アニサキスが怖いので、レシピは照り焼き、パスタ、天ぷらが中心」で、元飲食業のスキルを駆使して家族のために奮闘する。

「僕が釣りを続けているのは、子どもの頃に父と一緒に釣りをした光景が心に残っているから。親子でなにかを共有した思い出は、子どもの記憶にずっととどまり続けるんですよね。僕の娘が幼稚園に入るくらい成長したら、一緒に釣りに行く。そして『パパ、すごいね!』って言ってもらう。それが目下の目標です」

さて、そろそろ納竿の時間だ。この日の釣果はダツとカサゴ。秋イカはまたもや持ち越しである。無念!

釣りに重宝するHELLY HANSEN

釣りどっぷりの諸石さんが日頃、愛用しているのがHELLY HANSENのウエアだ。もともとTHE NORTH FACEのファンで現在の店舗に入店したが、現在、ワードローブの中心をHELLY HANSENが担っている。仕事と釣りと家族の時間をシームレスに行き来する諸石さんのライフスタイルに、HELLY HANSENはぴったりフィットするのだ。

「店舗でもHELLY HANSENを担当しています。コーナーで展開していることもあり、釣り向きのアイテムをピックアップして揃えています。雨天の釣りには耐水性や透湿性、冬季の夜釣りには保温性というように、釣り人には高い機能が欠かせませんから。釣り愛好家のみなさんと一緒に、釣りのシーンでHELLY HANSENを盛り上げていきたい」

なお、店舗スタッフには諸石さんのほか3名の釣り人がおり、休みを合わせて釣りに出かけることも。

「同い年の扇(勇太郎さん)は、実は沖縄時代にヘルプに出かけた石垣島の店舗で出会っているんです。まさかここで一緒に釣りに出かける仲になるとは……(笑)。もう1人のスタッフ、小林は、僕がエギングに引きずり込みました。1ヶ月半、まったくの無釣果だったことに人知れず責任を感じていたのですが、先日、ようやく初イカを釣り上げて。最近、いちばん嬉しかったできごとです」

エギングにフカセ釣りと、それぞれスタイルは異なるけれど、釣りを愛する気持ちはみな同じ。

「勝手に長崎釣り部リーダーを自認していますが、九州の店舗の釣り好きスタッフを集めて、みんなで釣行に出かけるのがいまの目標。そのなかで、釣り人のための情報交換プラットフォームを作ったり、初心者でも気軽に釣りを始められる施策を整備したり、釣りをきっかけにいろいろな発信をしていきたいと考えています。いずれはHELLY HANSEN事業部にかけあって、長崎釣り部のオリジナルアイテムを作ってみたいですね」

子どもから大人まで、年齢・性別関係なく楽しめる釣りだからこそ、持続可能なアクティビティの姿をみんなで考えていきたい、と諸石さん。それにはHELLY HANSENというブランド力が味方になってくれるはずだ。

「月に1回、店舗主催で海辺の清掃活動を行っていますが、たとえばルアーの根掛かりをきっかけに、子どもと一緒に海洋プラスチック問題を考えてもらう機会を設けるなど、海に近い店舗だからこその取り組みを広げていきたいです」

(写真 田邊信彦/文 倉石綾子)

  1. 諸石憲史 もろいし・のりちか
    1990年沖縄県うるま市生まれ。幼稚園から中学卒業まで水泳に励む。高校入学と同時に水球チームに所属、社会人と一緒にプレイしていた。高校卒業後、専門学校を経てアパレル業界や飲食業界でさまざまな経験を積み、2017年に〈THE NORTH FACE+ アミュプラザ長崎店〉に入店。社会人になって再び釣りを始め、長崎に暮らす幸運を噛み締める日々。ここ1年はエギングにハマっている。

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