PEOPLE

いつからかスポーツが一番になった

スポーツを一番に考える、SPORTS FIRST な想いを持った
ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

“スポーツファースト”で始めた安曇野暮らし 吉田遥

2024.02.14

自分らしいワークライフバランスを実現するために、移住を選択する人も少なくない。〈THE NORTH FACE GRAVITY HAKUBA〉スタッフの吉田遥さんも、趣味を楽しむフィールドを求めて安曇野に移住を決めたひとり。職場と遊び場、自宅が近接する最高の環境で、四季折々の山遊びを満喫している。

千葉県生まれの吉田さんは、小学校から高校までバスケットボール部に所属。高校卒業後、履き慣れたバスケットボールシューズを製造していたスポーツアパレル・メーカーに就職。その後、船橋の〈THE NORTH FACE+|ららぽーとTOKYO-BAY〉にアルバイトとして入店した。兼ねてより興味をもっていたアウトドアカルチャーやアクティビティに関する知識や経験を培いたいと思ったからだ。

「もともと両親がアウトドア好きで、子どもの頃から家族でビーチキャンプやカヤックに出かけていました。当時、両親が愛用していたギアがTHE NORTH FACE。転職したのは、子ども時代の楽しい思い出のなかにTHE NORTH FACEのギアがあったから。どのギアも、耐久性も使い勝手も優れていて、ブランドに対する信頼感や愛着は、この時に芽生えたのだと思います」

2017年、吉田さんは初めての富士山登山を経験する。

「この山行が思い描いていたものではなくて、あまり感動しなかったんです。『ピンとこなかった』という話を同じ店舗の先輩にしたら、『すごい山がいっぱいあるから』と教えてくれて。それで、自分は一体どういう山が好きなのか、リサーチするようになったんです」

まずはトレーニングを兼ねて、近場でアクセスしやすい丹沢へ。もうすこしハードに歩きたくて、その先輩と2人で上高地から槍ヶ岳へ登った。

「それがすごく楽しかったんですね。テントを担いで登ったのですが、あいにくの悪天。テント場は全く眺望がなく、私たち以外誰もいませんでした。天気は最悪でしたが、テントのなかで食事を作って、食べて飲んで。それも楽しかったんです」

テントの中で風雨に耐えた翌日は、前日から一転、嘘のような快晴に。頂上まで上がり、最高の眺望をひとり占めした。これで完全に山にハマった。

「以来、千葉の自宅から川崎の店舗まで通勤し、休みの日には北アルプスを中心に山に登るということを続けていましたが、『フィールドの近くに暮らしたい』という思いが募ってきました。一緒に槍ヶ岳に登った先輩が現在の夫なのですが、思いきって2人で白馬への移住を決めたのが昨年春のことです」

移住によってもたらされたマインドシフト

現在は自宅のある安曇野から白馬の店舗まで、毎日通勤している。白馬はもちろん、自宅の近くにも北アルプスの登山口があり、アクティビティには事欠かない環境だ。山登りだけでなくスキーやマウンテンバイクも始め、四季折々の北アルプスの自然を楽しんでいる。

「フィールドが近くなっていちばん変わったのは自分の考え方です。自分に必要なものとそうでないものの取捨選択がシビアになって、必要なものに集中できるようになりました。もちろん、ライフスタイルや遊び方も大きく変わりました。早朝、朝もやのなかを夫と犬と走りに行ったり、日帰りで山に入ったり、アウトドアが日常に。現在は友人と遊ぶのだって、カフェではなく屋外が中心です。コーヒーと軽食を持って外でランチをしたり、青木湖や木崎湖へ星を見に行ったり、ときには東京近郊から来た友人を山に案内したり」

この日は前職の同僚2人を連れて、夫婦で八ヶ岳に出かけた。雪山ビギナーのために考えたルートは、渋の湯から高見石小屋を経て白駒池を往復するコース。危険箇所はなく、斜度もゆるやか。シラビソやコメツガの静かな森の中を、ハイキング気分で散策できる。

「このルートは私も初めてなのですが、雪が積もる冬がいちばんきれいだと聞いて、ぜひ案内したいと思っていました」

自分がかつて山登りに連れて行ってもらったように、仲間たちに外遊びのきっかけを提供できればうれしい、と吉田さん。たとえ自分たちが同行できない時でも、山に行くために前泊する必要があれば安曇野の自宅を使ってもらうし、道具を貸すこともある。朝、登山口まで送ることもいとわない。実際、夏山シーズン中は多くの元同僚が吉田家に遊びに来たそうで、「トレイルヘッドのゲストハウス」という役割を十分すぎるほど果たしたようだ。今日案内した2人も、「一緒に働いていた時よりもいまの方が一緒に出かけるようになった」という。

「都会にいるとどうしても心理的、物理的にフィールドへのハードルが高くなってしまう。私たちが安曇野にいることで、そのハードルを少しでも下げられればと思います。それは仲間だけでなく、お客さまについても同様です。山に初めて出かけるという方がうちで道具を買ってくださり、山が大好きになって、少しずつアウトドアでの経験を増やしていく。そうした様子を間近に眺めることが、日々のモチベーションになっています」

アウトドアと白馬のためにできること

現在の吉田さんに刺激を与えてくれるのは、〈THE NORTH FACE GRAVITY HAKUBA〉のスタッフと、店舗の顧客である山岳ガイドやアスリートたちだ。

「ここのスタッフは全員がアウトドアアクティビティに精通していて、栂池のパトロール隊員としてスキー場内の雪崩対策に携わっている先輩もいます。お客さまにも山のプロフェッショナルが多く、山のこと、自然のこと、たくさんのことを教わっています」

フィールドショップという性質上、〈THE NORTH FACE GRAVITY HAKUBA〉では近隣のアウトドアショップと連携して、安全登山にまつわる啓発活動も行っている。また、駅前の足湯の清掃活動への参加や地元中学校の職場体験プログラムの受け入れなど、地域貢献にも積極的だ。

「この素晴らしいフィールドで遊ばせてもらっているのだから、私たちなりの地域貢献をしていきたい。まだまだ知識も経験も足りていないけれど、私が〈THE NORTH FACE GRAVITY HAKUBA〉にいることが誰かのプラスになるような、そういう成長を続けていければと思っています」

こちらに来て初めて迎える冬。吉田さんはスキー、冬山登山、雪上キャンプといろいろ計画している。その経験は、仲間や顧客とともにアウトドアの裾野を広げることに貢献していくはずだ。

(写真 木本日菜乃 / 文 倉石綾子)

  1. 吉田遥(よしだ・はるか)
    1996年千葉県佐倉市生まれ。高校卒業後、大手スポーツアパレルメーカーに就職。その経験を生かし、〈THE NORTH FACE+|ららぽーとTOKYO-BAY〉にアルバイトとして入店。2021年、社員として〈THE NORTH FACE+ラゾーナ川崎〉に勤務した後、2023年4月に〈THE NORTH FACE GRAVITY HAKUBA〉へ。現在は夫とともに安曇野市に自宅を構え、夏は縦走登山にマウンテンバイク、キャンプ、冬は冬山登山、スキーと、四季折々のアウトドアアクティビティを楽しんでいる。

RECOMMEND POSTS

RELATED SPORTS