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いつからかスポーツが一番になった

スポーツを一番に考える、SPORTS FIRST な想いを持った
ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

若い選手たちの経験が、その後の人生において大切なものになるように。
飛内航太(GOLDWIN)

2016.12.07

父に強制的に乗せられて、小学校3年生でセーリングを始めました。

神奈川県出身の私は、小学校3年生からセーリングを始めました。地元が葉山ということもあったのですが、父がディンギーでソウルとアトランタのオリンピック出場を目指していた選手だったということもあり、父が引退してからは私が強制的にヨットに乗せられたという感じでした。でもヨットを始めたのはいいけれど、実は中学3年生までは大嫌いだったんです。小さい頃から海が好きで、波乗りも少しはやっていたのにも関わらず、ライフジャケットを着て、外海に出るというのが怖かったんです。あと、寒いのも嫌でしたね。湘南で乗っていても、寒い時は、手の感覚がなくなってしまうくらいになるんです。 

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同じことは二度と起こらない。それが、自然を相手にするヨットの魅力。

ディンギーという競技は、エンジン、つまり動力を使わない競技です。短い距離で、1日に4レースくらい行ないます。最大で4人までの競技で、レーザーラジアル、レーザークラスというのは1人乗りですので、1レースで30分から40分。それを1日に3本から4本やるんです。かなり体力を使います。一方、クルーザーという、大きなヨットでの競技もあります。
ヨットの魅力は、自然を相手にするスポーツなので、同じことは二度と起こらないというところにあるのかもしれません。どんなに優秀な天気予報士や海洋研究家の方たちが何年ものデータを集めても、それはひとつの情報にしか過ぎないんです。当日の天気とか風向きとか、誰にも完璧な予測なんてできないんです。それがおもしろいところで、だからこそチャンスはみんなに平等にあるんです。ディンギーの選手には、体力や技術ももちろん必要ですが、判断力というか、感覚がものすごく大事になってくると、私は思っています。

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風向き、風速、潮流、波、天気。それを感じ取れる感覚が大事になります。

感覚というのは、経験の中から生まれてくるものでもあり、たとえば天気の状況をどれだけ感じ取れるかというものです。漁師の方たちが「今から海が荒れるよ」って言ったら、本当に荒れてくる。そういう感覚です。本当に自然と一体になって、先を読めるようになれたらいいですよね。
ヨットレースに臨むには、風向き、風速、潮流、波、そして天気を感じる力が必要になってきます。
波というのは、高さだったり向きだったりします。乗っていて、どこが一番波が強いか。たとえば、100m先に波が荒れている場所が見えてくる。それは、海底の地形によるものだったりもしますが、それを含めての判断力、感覚が大切なんです。ですから日常生活の中でも、天気にはすごく敏感になってしまいましたね。天気予報を見ていなくても「今日は午後から雨が降りそうだな」とか。ハズれることも多いですが(笑)。
それと、エンジンを使わないヨットに乗っていると、自然の音しかしないんです。波の音と風の音しかない中でセーリングするのが本当に気持ちいいんです。逆にレースでは、そのスピード感がたまりません。トップでフィニッシュすると、ホーンが鳴る。それがまた気持ちいいんです。アドレナリンが出るほどのスピードを海上で味わえること、そのスリルがたまらないんですよね。

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負けても、勝っても。感情を海の上に置いてくることを学んできました。

今は休みの時などを利用して、セーリングのU—18のナショナルチームの練習や遠征に一緒に行ったりしています。日本はセンスや技術というのは世界でも負けていないと思いますが、ただひとつ足りないのが、やっぱり体力なんだと思います。フィットネス、フィジカル、食事による体重管理など、もっと高めていかなければいけないなと感じています。
私自身を振り返ると、高校2年生の時には体重が57kgしかなかったのですが、次の年に世界選手権への出場が決まった時には70kg必要だったので、1年間で14kgくらい増量しました。自分には技術とセンスが足りないことはわかっていたんです。高校2年生の時に東京都の代表に選ばれて初めて国体に出場した時に、そう実感した自分はトレーニングするしかないんだって思い知りましたね。だからトレーニングを頑張り、フィジカルの強さを身につけた。それでも高校では日本で3位が最高の順位でした。
その後進学した大学では多くのオリンピック選手を輩出していて、全国優勝の回数も一番多い大学でした。しかし私が入部してからは苦戦していた時代が続いていたんです。自分が大学4年生の時のレースで3日目まで1位をキープしていたのに、私のフライングで負けてしまったこともありました。
ヨットレースは外海の上でやっているので、周りには観客がいないんです。本当に孤独の中で負けを受けとめるしかない。そして、負けた悔しさを、全部海の上に置いてくるんです。負けても勝っても、いろんな感情を海の上に置いてくることを、このスポーツと先輩たちから学んできました。

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休みを利用して、U-18のナショナルチームにコーチとして参加しています。

高校時代からヨットの大会に行くと必ずゴールドウインの方がいたので、もちろんこの会社のことは知っていました。ヘリーハンセンがサポートしていたアスリートにずっと憧れていましたし、カッコいいなあって思っていました。
入社してからは休みを利用して、若い世代の育成にも関わらせてもらっています。その選手たちにメダルを獲得してもらいたいのはもちろんですが、何よりも選手たちがセーリングから離れても、そこでの経験がその後の人生において大切なものになるようなサポートがしたいと思います。
私は、仲間との協調性をこのスポーツから学びました。それが、シーマンシップというものだと思います。そして今はコーチとして言葉を選ぶことと、人の感情を読み取ることの重要性を考えるようになりました。特に自分では、技術面を教えることよりも、選手達の気持ちを盛り上げたりと、ムードメーカー的な役割を意識しています。海外遠征への同行で、自分の休日も無くなってしまいますが、それでもやりがいのあるこのサポートを続けて行きたいと願っています。
ゴールドウインには、スポーツ・ファーストという想いがあるから、自分もこうやっていろんなスポーツにチャレンジができる。だから、もっともっと頑張っていきたいですね。

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  2.  飛内 航太(とびない こうた)
    1988年生まれ。神奈川県出身。
    2012年よりTNF/HH鎌倉店に3年間勤務後、その後HH原宿店に異動。現在はHH事業部のプロモーションチームに所属しながら、ヘリーハンセン直営店でショップスタッフとしても働いている。
    2015年度よりセーリング競技のユースナショナルチームのコーチも兼任。
    最近は、スタンドアップサーフィンも行っており、海が近い地元から離れず、2時間かけて通勤している。
    大学時代には、セーリング活動の一方で、HIPHOPのMCで、都内・横浜などでLIVEもやったり。
    全てのマリーンスポーツのお客様に貢献できるよう日々努力している。

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