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わかりやすく製品を伝える。それが、自分の求められている仕事 高島直之

2018.03.20

2017年11月、スポーツウエアの開発を強化するため、研究開発施設「テック・ラボ」(富山県小矢部市)がオープンした。ここでは最先端技術を駆使したスポーツウエアの研究開発を始動している。研究開発グループに所属する高島直之さんは、テック・ラボでサンプルの評価試験を行い、研究論文の結果などに基づいた提案を行っている。日々の業務、そして高島さんが好きなランニングやコーフボールという競技を通じた仕事への想いを聞いた。

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テック・ラボはゴールドウインの技術開発力、人知とITを融合した製品開発力、さらに高い品質を保持するための独自の品質検査体制を実現する場所だ。ラボはアーカイヴ・スペースと店舗を模したミーティング・プレゼンテーション室を囲むように、品質検査室、恒温恒湿室、スキャナー・CAD、サンプル試作室、研修室、運動研究室、といったブースが配置されている。高島さんは運動研究室や人工気象室・人工降雨室などを使い、製品づくり・製品の評価を行う。

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意図的にフラットにして物事を捉える。

「私は研究開発グループに所属していて、長期的な視野で製品づくりや、製品評価を担当しています。現在、段階着圧設計を有するC3fit(シースリーフィット)の効果効能を、実験を通して明らかにする仕事に携わっています。C3fitは運動機能の向上と身体機能のケアを追求したハイパフォーマンスウエアですので、その機能の裏付けを、実験を通して明らかにしています。テック・ラボ等で行う様々な試験からデータを取り、それをよりわかりやすくお客様に伝えていくことがメインの仕事です。データを取るだけではなく、そのデータを取るための試験方法を考えることも大きな仕事のひとつです」

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評価をするということは、自社製品であっても「正しく評価」することを求められる。高島さんは日々、どのような気持ちで仕事に向き合っているのだろう。

「私の仕事は、製品を公正に評価する必要があります。それは自社製品であろうが、フラットに割り切るしかありません。私は大学時代から研究に携わってきていますので、実験をする上で正確にデータを取る方法を学んできました。

ですから、常に”意図的にフラット”にして物事を捉えています。客観的に物事を見るというか。……これは、考えるというよりも、私の中では自然なこととして、備わっていることだと思っています。効能実験は製品の良し悪しを知る目的があるのですが、”事実を知る”という側面もあります。評価の実験をする人の多くは、事実に興味があるという人が多いんじゃないかな。私はそう思いますね」

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高島さんはマラソンやトレイルランニングなどの走るスポーツが好きだという。そして、そのスポーツへの取り組みは仕事とつながり、日々の業務に活かされているそうだ。

「高校、大学と陸上部でした。当時は短距離専門で400メートルを走っていました。しかし、ゴールドウインに就職した後、生涯スポーツという観点で考えた時、短距離は一勝するには難しいかなと思うようになりました。

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走ること自体は好きだったので、距離を伸ばしでマラソンをはじめました。400メートルもマラソンも、距離は違っても、走るという意味では同じ喜びがあります。陸上全般にいえると思うのですが、走ると記録が出ます。そのタイムが自分との戦いで、タイムを通して成長が見られます。マラソンは練習したら練習した分だけ、記録が出ますから。こういう競技は自分には合っているなと思いますね。

短距離と長距離との共通点をいえば、”集中”があります。短距離はいかに集中するかが大事です。マラソンは距離が長いので、走ってる間いろんな状況が変わる。その状況やアクシデントにどういうふうに対応するか。視野を広げていろいろなものに対応できるよう、集中を分散させています」

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どう伝えるか、表現するかを常に考える。

高島さんは走ること以外に「コーフボール」という競技にも力を入れている。コーフボールとはオランダで生まれたスポーツで、男女が混合で楽しめる屋外スポーツとしてバスケットボールのルールを基にしている。「コーフ」はオランダ語で、「バスケット」を意味するそうだ。

「現在、幸運にも日本代表チームに入っています。コーフボールを大学の友人がやっていて、見学に行ったときに『おもしろそうだな』と思い、それからずっとやっている感じです(笑)。3年ほど前にはじめたのですが、これもやればやるだけうまくなるんです。うまくなっていく自分が楽しい。『こうすればシュートが入るんじゃないか』、『こうすればもっとうまくいくんじゃないか』。そんなことを、練習後はいつも考えています。……やっぱり私は分析が好きなんですね(笑)」

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趣味のスポーツをする際、高島さんはC3fitやほかのウェアを着て、感覚を確かめるそうだ。そして、マイナー競技のコーフボールでは、どうやって「知ってもらうか」を考えている。これも仕事とつながると高島さんは言う。

「マラソンやトレランでは自社製品を使ってみて、感覚や感触を確かめることがあります。サンプルを着用して走り、納得のいかない点や改良点などの気づきがありますね。コーフボールが仕事につながるかというと、……ちょっと厳しいけれど(笑)、この競技はどんどん普及していきたいと思っていますので、どのようにして皆さんに知ってもらうかを考えることは、仕事に通じる気がしています。やはり、実験結果をよりわかりやすく伝えること、どこか通じるのかなと思いますね」

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高島さんは、評価するという仕事は「人に伝える」という点がとても重要だと感じている。研究で得たデータを難しい学術用語やグラフなどだけで伝えるのではなく、自身を通してわかりやすい言葉にする。その言葉を元として、商品の説明文が作られたり、製品を説明する際のエビデンス(科学的根拠)となる。つまり、このテック・ラボでの研究や試験は、店頭のスタッフの言葉となる。

「どう伝えるか、どう表現するかを常に考えています。自分はテック・ラボで実験をしているのですが、ここだけで理解される言葉ではなく、店頭でお客様と実際に接している販売スタッフに届くような表現をしたいなと思っています。ですので、あまり専門用語は使わないようにしています。そこは製品を表現する時に意識している部分です。いかにわかりやすく製品を伝えるか。それが、自分の求められている仕事かなと思います」

  1. 高島直之
    1988年生まれ。大阪府出身。高校、大学と陸上競技部に所属し400mを専門に日々練習に励む。社会人になってからはマラソンやトレイルランのレースに参加。大学では運動生理学を専攻し大学院を修了。2014年ゴールドウインテクニカルセンター入社。1年間の研修の後、現在の開発部に配属。コーフボールには2015年の春に出会う。全国の仲間との交流やスポーツの普及に携わるというマイナースポーツが故の特別な魅力に惹かれ、現在まで続けている。

(写真 古谷勝 / 文 井上英樹)

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