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いつからかスポーツが一番になった

スポーツを一番に考える、SPORTS FIRST な想いを持った
ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

企画でインストラクター。いまがあるのは、みんなヨガのおかげ  森岡早紀

2022.03.22

カンタベリーで企画に携わる森岡早紀さんにはヨガ講師というもう一つの顔がある。週末を中心に都内でヨガクラスを受け持っている。ヨガを始めて2年半、ヨガに出合ったことでライフスタイルも仕事に取り組む姿勢も大きく変わったという。

もともと身体を動かすことが大好きで、4歳から始めたクラシックバレエは一時期、プロを目指して打ち込んでいたほど。足の怪我で断念するも、自分の気持を言葉で表現することが苦手であった森岡さんは、身体を使って内面を表現することで自分の軸を育んできた。

「バレエをやめて情熱を傾けるものがなくなってしまったので、海外への語学留学を決めました。1年後、帰国して本格的に取り組み始めたのがバトントワリングです。全国大会出場を目指して練習に励みましたがあと一歩のところで届かず。そのときの悔しい思いを晴らしてくれたのが、大学生になって始めたダブルダッチ(2本のロープを使って跳ぶなわとびのパフォーマンス競技)でした」

大学卒業後は大阪の繊維商社に就職したが、ダブルダッチ仕込みの持久力やバランス、リズム感と、バレエやバトントワリングで培った表現力を活かしたいと、社会人の傍ら、パフォーマーとしてイベント出演を果たすようになる。

ストレスフルな毎日で見出した解決方法

ダブルダッチの衣装を作ったことをきっかけに、ステージやパフォーマンスの世界観を衣装で表すことのおもしろさに目覚め、いつかはアパレルメーカーの企画職に就きたいという夢を持つようになった。繊維商社に入社し配属されたのは営業部だったが、新卒ながら仕事は忙しかったようだ。

「月の1/3は東京出張がありましたし、まずはものづくりを学ぼうと思い日々の業務も全力でこなしました。就業後はパフォーマーとしての練習やリハーサルに追われ、週末はイベントに臨み……そんな毎日を続けるうちに、いつしか心と身体がばらばらになっていくような違和感を覚えるようになったんです」

「やらなければいけない」という重圧に押しつぶされそうになったとき、YouTubeでたまたま見つけたのがヨガ動画。初心者向けのコンテツを自宅で試してみたことがヨガとの出合いだった。

「初心者でもできる穏やかな内容だったのですが、肩こりが改善し、身体のなかの滞りが解消されていくような爽快感を味わいました。なにより、身体を動かしながら心を鎮めるという体験が、私にとっては得難いものだったのです。それまで動的なアクティビティにばかり取り組んできたので“静”を感じたことがなかったんですね。短時間でも呼吸に集中して心を鎮めていると、自分が本当にしたいこと、どうありたいのかということを冷静に見つめられる気がしました」

そこでヨガを本格的に学ぼうと、インストラクターの養成学校に通うことに。「ヨガの教えはこれからの人生にきっと役に立つから」と言って森岡さんの背中を押してくれたのは、『バガヴァット・ギーター』というインドの哲学書を譲ってくれた祖父だったが、実際にヨガの智慧と手法をきちんと学んだことは森岡さんに大きなマインドセットを促したという。自分の心と対話するという習慣が身につき、これまでの「TO DO=やらなければいけない」思考から「TO BE=どうあるのか、どうありたいか」思考へと、マインドが大きく変化したのだ。

「ヨガの教えに『身体は道具、心も道具、思考も道具』というものがありますが、ヨガを通じて自分の人生は自分で舵を取り、向かう方向を定めることができるということを理解しました。自分の心と身体の波をコントロールできるようになればより生きやすくなるんです」

そう気づきを得た森岡さんはストレスフルな環境から抜け出すことを決意。転職活動を行った結果、かねてから憧れていた企画職に就き上京を果たしたのである。

いまを大切に、ありのままの自分を見つめる

全米ヨガアライアンスRYT200、IHTA認定ヨガインストラクター1級などの資格を取得した現在は、東京をベースに会社員とヨガインストラクターを両立させている。インストラクターとしての主な活動は初心者向けの「Cafeyoga(カフェヨガ)」クラスの開催だが、今後は活動理念に賛同して所属することになった一般社団法人ヨガトゥーラデザイン協会が主催するレッスンやイベントが中心となる予定だ。一般社団法人ヨガトゥーラデザイン協会では、病院や企業、学校に向けたチャリティヨガクラスを開催するほか、YouTubeでの動画コンテンツ配信なども予定している。また、森岡さんが自主開催するクラスにおいても、ビーチヨガ、パークヨガ、ルーフトップヨガなどアーシングをテーマにした屋外でのレッスンを企画しており、幅広いフィールドでヨガの魅力を広めたいと考えている。

インストラクターになってよかったことは、会社員生活だけでは得られないような縁に恵まれ、人との和がぐんぐんと広がっていくこと。ヨガがもたらしてくれた一期一会への感謝の気持ちを大切にする森岡さんは、自分が受け持つすべてのクラスで参加者に直筆のメッセージカードを渡している。その日のテーマの掘り下げからそのクラスで伝えたかったことまでカードの内容はさまざまだが、そのメッセージには、ヨガを通じて気づきや自分の中の変化を受けとってほしいという森岡さんの願いが込められている。そんな気づきが自分のマインドを変え、より自分らしく生きる指針となってくれる、そう信じているからだ。

たくさんの人に気づきをもたらすお手伝いを

「私の原動力は、たくさんの人にヨガの魅力を伝えたい、以前の私のように心身の不調を感じている方の手助けをしたい、心の中にある変化や気付きを見つめるためのきっかけづくりを行いたいという気持ちです。そして、そのプロセスをみなさんに味わい、楽しんでいただきたいんです」

自分たちを取り巻く情報の海に飲み込まれることなく「いま」にとどまって内観することで、自分の本質が見えてくる。その本質こそが自分らしさであり、自身を輝かせる原動力になってくれる……。そんな気づきこそ、森岡さんがヨガを通して手に入れた宝物なのである。

後日、森岡さんがカンタベリー愛、ラグビー愛について語るSPOTLIGHTを公開予定です

(写真 古谷勝 / 文 倉石綾子)

  1. 森岡早紀(もりおか・さき) 
  2. 大阪府出身。幼少時からクラシックバレエを習い、高校時代はパトントワリングに取り組む。大学で始めたダブルダッチでは念願の全国大会出場を果たす。大学を卒業後、繊維商社に就職するもストレスフルな毎日の中で心身の調子を崩し、ヨガに開眼。全米ヨガアライアンスRYT200、IHTA認定ヨガインストラクター1級などの資格を取得してヨガインストラクターに。1年半前、ヨガのおかげで転職を決意し、カンタベリーに企画として入社。現在はカンタベリーブランドの商品企画、デジタルマーケティング、イベントプロモーションの企画を行う傍ら、初心者向けのヨガレッスンも精力的に開催している。

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