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愛すべき“ホーム”、雪の蔵王連峰へ 浅沼由花

2022.12.09

登山歴は7年弱ながら、百名山制覇を目指して精力的に山に登っているというのは、〈THE NORTH FACE+S-PAL仙台東館店〉の浅沼由花さん。現在はグリーンシーズンのトレッキング、冬季のスノーボード、通年のキャンプなど、四季を通じてフィールドに出かけている浅沼さんだが、アウトドアアクティビティを始めたのは〈THE NORTH FACE〉に入店後。山好きのスタッフが近所の低山に連れて行ってくれたことをきっかけに、トレッキングに目覚めた。

「低山とはいえ、登りはきつくて苦しくて。何が楽しいんだろうって思いながら歩き続けて、山頂に着いたときに山の虜になりました。登りきった!という達成感とがんばった人だけが目にできる風景が山のご褒美だと思っています」

以来、自宅の裏にある低山でトレーニングを積みながらソロ登山も行うようになり、いまでは夏になるとテント装備を担いで八ヶ岳や北アルプスまで遠征するという。そんなときの相棒は、山のコミュニティで知り合ったという夫。パートナーにして信頼できる山仲間を見つけ、浅沼さんのアクティビティライフはますます充実しているようだ。

「記憶に残る山行は4年前に出かけた鳥海山。1人だったので、登山口の駐車場に車中泊して早朝登り始めたのですが、そのときに高齢の地元の登山者と一緒になったのです。道中、おしゃべりが弾み、帰りにはその方が、現在は使われていないというバリエーションルートを紹介してくれました。誰も歩いていない古道の雰囲気がとても良くて、自分1人だったら見つけられないルートでしたから、いまでも印象に残っています」

このエピソードはそこで終わらない。なんと数年後、その登山者がわざわざ浅沼さんが働く〈THE NORTH FACE+S-PAL仙台東館店〉を訪ねてくれたとか。

「そういう素敵な出会いをもたらしてくれるのも山の奥深さ。登って降りて、に留まらない、なにかしら自分の世界を広げてくれるものに出合えるところが魅力なんです」

蔵王山は仙台人の“ホーム”

結婚を機に、夫の実家である山形市に引っ越した浅沼さん。通勤は片道1時間かかるようになったが、蔵王連峰の主峰のひとつ、熊野岳へのアクセスはこれまでより断然、よくなった。

「蔵王山は宮城県人と山形県人の“ホーム”。私たちにとっては心の拠り所のような存在で、遠方から地元に戻ってきてあのシルエットを目にするとほっとするんです。そんな蔵王山は登山の対象としても格別で、芽吹きの春、新緑の夏、紅葉に染まる秋と、それぞれ異なる楽しみ方をできるところがいい。グリーンシーズンだけでも年に4、5回は登っています」

浅沼さんのお気に入りは、初心者でも稜線歩きの醍醐味を味わえる南蔵王縦走路。刈田峠、屏風岳、不忘山を結ぶルートは、コース上に現れる芝草平の湿原の風景が「別世界に迷い込んだよう」で、店舗でも積極的にお勧めしているそう。

雪を抱いた熊野岳で、新作ギアをテスト

そんな浅沼さんの最近の山行は、趣味と実益を兼ねたものになっているそう。昔から大のギア好きという浅沼さんは、現在は〈THE NORTH FACE+S-PAL仙台東館店〉のイベントおよび「ギア強化店」コンテンツ担当を務めており、新しいギアが入るとスペックやインプレッションを確かめに蔵王ほか近隣の山々に出かけている。

「『ギア強化店』は、魅力的なギアの使い方を周辺店舗に広めるための取り組みで、〈THE NORTH FACE+S-PAL仙台東館店〉も東北のギア強化店に指定されており、私がその窓口になっています。ギアの使い心地を自分なりに確かめ、提案の仕方や発信するストーリーを考えるという役割で、新作やサンプルの機能やスペックチェックを行っては、いいところや改善してほしい点をまとめたレポートを提出しています」

冠雪したばかりの蔵王山・地蔵岳に持って行ったのは、新作のスノースポーツ用のバックパック「チュガッチ35」と「ウォールライドFLトリガー」、そして定番の「オールマウンテンジャケット」。

「『チュガッチ35』はバックカントリーでの機能性を追求したモデルでアップデートを続けています。今年のモデルはフィット感や背負い心地がさらに向上、荷物の重さを感じさせない造りになっている印象です。『ウォールライドFLトリガー』は個人的にスリーフィンガーグローブが気になっていたので、入ったばかりのサンプルを借りてきました。ライニングの肌触りが良くて、なによりも温かい!自分用に購入しようと思っています」

……と、ギアのことを語り出したら止まらない。そもそも〈THE NORTH FACE〉に入店したのも「アウトドアギアを扱いたかったから」というだけあり、この業務が日々のモチベーションになっているようだ。

現在は、東北エリアのスタッフを集めて実際のフィールドでのインプレッションを体感してもらい、店舗での接客に生かしてもらうという趣向のフィールドイベントを構想中だ。

「いずれはお客さま向けのイベントも企画したいですが、まずは周辺スタッフに新作やサンプルの魅力を実感してもらうコンテンツを考えていきたいです。たとえば、事業部のものづくりを担うチームを招いて一緒にフィールドに出かけ、ギアの魅力を掘り下げてみるなど、これまでやれなかった内容のイベントを実現させたいですね」

(写真 茂田羽生/ 文 倉石綾子)

  1. 浅沼由花(あさぬま・ゆか)
    宮城県出身。中学でバドミントン、高校ではテニスに打ち込み、卒業後も仲間とともに社会人テニスを楽しんでいた。専門学校を卒業後、アルバイトとして〈THE NORTH FACE〉に入店。スタッフに連れられたお試し登山で山にハマり、現在はグリーンシーズンのトレッキングと冬季のスノーボード、通年のキャンプや夫の趣味をきっかけとする海釣りなど、四季を通じてアウトドアアクティビティを楽しんでいる。

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