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「富山マラソン」で広めたい、リペアを促すメッセージ  澤田昂一

2023.11.29

毎年11月に富山県で開催されている「富山マラソン」。創業の地で行われるレースということもあり、ゴールドウインは2015年の第1回大会からゴールドサポーターとして協賛しています。今回はいつもと趣向を変え、ゴールドウインが取り組むリペアサービスに焦点を当て、富山マラソンの前日に開催された「富山EXPO2023」に登場したリペアブース、「GOLDWIN POP UP FACTORY」の模様をご紹介。「リペアセンター」の一員としてこのサービスに取り組み、翌日の「富山マラソン」を走った澤田昂一さんの2日間を追いかけます。

資源の循環を体感できるリペアサービス

11月4日、富山市総合体育館では、翌日に迫った「富山マラソン2023」に先駆けて「富山マラソンEXPO2023」が開催された。ランナー約14,000人の参加受付のほか、パートナー企業や協賛自治体が多数、出展したこちらで異彩を放っていたのが、ゴールドウインのブースに設けられた「GOLDWIN POP UP FACTORY」だ。リペアに焦点を当てたこのブースでは、「スポーツタイツ修理サービス」(事前予約制)と「リペアコンシェルジュへの相談会」を実施。さらに、例年通り、不要となったウエアの回収も行われた。

ブース内、GREEN IS GOOD の回収ボックス

「ゴールドウインは”GREEN IS GOOD”を掲げ、環境に配慮したものづくりや資源の循環を促すサービスに力を入れています。その一環として、子ども服を買取・修理してリセールする『GREEN BATON』や、Goldwinブランド製品の無料修理といった取り組みを進めてきました。創業の地・富山で行われる『富山マラソン』は私たちにとって思い入れのあるイベントですから、ここで『一つの製品を長く愛用していただきたい』というメッセージを発信したいと考え、『富山マラソンEXPO2023』にてリペアをテーマにしたポップアップを展開することになりました。修理しながら使用し続けていただくことで、ウエアの廃棄を削減するとともに、無駄な消費や生産を抑え、地球環境に与える負荷を低減したいと考えています」(ESG経営推進室の瀬川麻里子さん)

EXPO当日、ブース内には合板で仕切られた小さなファクトリーが登場。リペアセンターから持ち込まれた専用ミシン4台と専門スタッフが常駐するこちらで、さまざまなスポーツブランドメーカーのスポーツタイツのほつれや破れのリペアを行った。

「せっかく『富山マラソン』でこうした機会を設けられるのですから、ランナーの心に刺さるリペアサービスがいいだろうと考えました。多くのランナーがスポーツタイツを愛用していること、ちょっとした破れやほつれ程度では買い替えせずに着用し続ける方が多いことなどから、今回はスポーツタイツを修理することにしました」(瀬川さん)

当日の混乱を避けるために事前予約を受け付けたが、予約を開始してわずか40分ですべての枠が埋まってしまったという。当日飛び込みも含め約40件のスポーツタイツ修理を行った。イベント当日にランナーからのお問合せも多く、リペアへの意識の高まりを感じさせるイベントになった。

なぜ、リペアサービスを提供するのか?

このポップアップ企画に携わったのが、「リペアオペレーションチーム」のリーダーを務める澤田昂一さんだ。「ゴールドウイン 本店内の生産センターの一角にある「リペアセンター」には、全国から修理依頼品が集まってくる。

「リペアは大切なサービスであるものの、利益を上げるものではありませんから、これまではプレッシャーを感じることもありました。ところがここ数年で、サステナブルへの意識の高まりからリペアが消費者の注目を集めるようになりました。リペアセンターはゴールドウインにとって重要なメッセージを消費者に伝える役割を担っていると、誇らしさを感じています。環境への負荷をなるべく抑えられる新素材を開発したり、生産体制を採用したりということに加え、消費者の求めに応じて修理を行い、一つの製品を長く愛用し続けてもらうことも、環境配慮の取り組みの一つ。“責任あるメーカー”として大切な企業活動だと思っています」

最近では、渋谷・原宿エリアに店舗を構えるアウトドアブランドによる合同リペアイベント、「DO REPAIRS」の企画・運営に参加。「ギアをメンテナンス・修理しながら大切に使い続ける豊かさを発信する」というテーマを掲げたこのイベントでは、アパレルやバッグの縫製修理、シェルやダウンを中心としたメンテナンス方法の実演とアドバイスをなどを実施したが、澤田さんは他ブランドの担当者と連携してイベントのコンテンツ作りに携わった。

「9月に開催された『第2回DO REPAIRS』には11のブランドが参加、イベントの理念に添いながらも、それぞれの持ち味を活かしたリペア・コンテンツを紹介できました。私たちは会場となった『THE NORTH FACE Mountain』の店舗に専用のヒートプレス機を搬入し、防水シェルやダウンの破れの圧着修理を行いました。店舗内に大型機械を持ち込むということで、機械やトラックの手配のほかに騒音や振動の対策も必要となりましたが、イベントでお見せするリペアの内容の幅が広がったことで、さらに多くの消費者の方にリペアの重要性をアピールできたと感じています」

後日談だが、「DO REPAIRS」でリペアした製品が、別の箇所の修理依頼でリペアセンターに持ち込まれたことがあったとか。

「イベントを通じてうちのリペアサービスを知ってもらい、そのサービスに満足いただけたからこそ、さらなる修理を依頼していただけたのでしょう。消費者の方にメッセージが届いたことを実感し、イベントをやった甲斐があったなとうれしく感じました」

リペアからメンテナンスへ

ゴールドウインのさまざまなリペアコンテンツに携わる澤田さんが考えるリペア文化のゴールは、「リペアが発生しなくなること」だという。

「今後、一部の店舗でもリペアを行っていくなど、リペアサービスをさらに拡大していく予定ですが、リペアの技術は高止まりしている感があり、今後はメンテナンスに軸足が置かれることになるでしょう。そうなったとき、私たちメーカーの責任は、耐久性に優れ、メンテナンスが楽な製品を作り、製品を長持ちさせる適切なメンテナンス方法を提供すること。そして消費者の責任は、リペアが生じないよう、日頃のメンテナンスを行うことになっていくはずです。なぜなら、製品を長く愛用するいちばんの秘訣が、メンテナンスだからです。メンテナンスの有無で10年後の製品のコンディションは全く異なるほど。今回のEXPOではコンシェルジュへのリペア相談も行いましたが、こうしたサービスを積極的に活用し、ぜひ、メンテナンスにも意識を向けていただければと思います」

「富山マラソン」で見せた、ランナーとしてのもう一つの顔

リペアのプロとして「富山EXPO2023」に関わった澤田さんは、その翌日、今度はランナーとして「富山マラソン2023」を走った。地元開催のこのレースには第1回大会から連続出場しており、毎回、「富山マラソン」の自己記録更新を目指しているそう。

「毎年、地元開催のこのレースにだけ出場していたのですが、最近は会社の人とリレーマラソンに参加したり、初めての県外マラソンとして『湘南国際マラソン』を走ったり、レースの幅が徐々に広がってきています」

他のレースを走ってみることで、あらためて「富山マラソン」のよさを認識できた、とも。
「このレースでだけ顔を合わせるランナーと同窓会気分でコミュニケーションしたり、沿道で応援してくれるご近所さんとあいさつしたり、地元ならではのローカル感を楽しんでいますが、『富山マラソン』のよさは、ランナー同士、あるいはランナーと応援の距離の近さだと思っています。応援の方が見ず知らずのランナーを叱咤激励していたり、雨の日には飴を差し入れてくれたり、こうしたふれあいはこの大会ならではと感じました」

「サブ4」を掲げて挑んだ今年は、3時間49分1秒のゴールで無事、目標を達成。「富山マラソン」の自己記録更新にはわずかに及ばなかったものの、もう一つの目標である「42kmを楽しく走り切る」も叶えることができた。

「昨年、『湘南国際マラソン』を走ったことで新たな目標ができたんです。それは、全都道府県で開催されている47のレースに出場すること。年間2本を目標に、20年くらいかけて達成できればと思っています。50代で『金沢マラソン』と『富山マラソン』の2本を走って、市民ランナーとして有終の美を飾りたいな、って」

そんな澤田さんが次に挑戦するレースは、来年3月に行われる「ふくい桜マラソン」。北陸新幹線の福井・敦賀開業に合わせて開催されるもので、このような大規模フルマラソンは福井県初だとか。

「いつものように気負わず、楽しく、春の福井を満喫しようと思っています!」

(写真 古谷勝/ 文 倉石綾子)

  1. 澤田昂一(さわだ・こういち)
    1990年富山県南砺市生まれ。小学生で野球、中学時代はサッカー、高校時代はラグビーと、さまざまな部活を体験。高校卒業後、ゴールドウインと同グループの染色加工会社、アートウインに入社。2019年、ゴールドウインへ異動し、リペアを担う「リペアオペレーションチーム」へ。実際にミシンを踏みながらリペアの技術を身につけ、現在はチームのリーダーとして活躍する。ランナーとしては小・中・高の部活で培った基礎体力や走力を生かして、年に1度、「富山マラソン」に連続出場中。昨年出場した「湘南国際マラソン」をきっかけに、旅と地方レースの参戦を合わせたラントリップを始めたばかり。

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