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いつからかスポーツが一番になった

スポーツを一番に考える、SPORTS FIRST な想いを持った
ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

80歳になっても最高の笑顔でトレイルを駆け回りたい
鵜野貴行(THE NORTH FACE FLIGHT TOKYO)

2016.12.13

THE NORTH FACEブランド史上初のランニングストア、THE NORTH FACE FLIGHT TOKYO。“市民ランナーの聖地”、皇居にほど近いロケーションということもあり、THE NORTH FACEのランニングにまつわるギアや情報を集約したショップである。FLIGHT TOKYOのオープニング時から携わるのが、スタッフの鵜野貴行さん。UTMFを完走しているウルトラトレイルランナーであり、ファストパッキングに傾倒する中で縦走大会やロゲイニングにも積極的に取り組んでいるアウトドア愛好家でもある。

    そんな鵜野さんがトレイルランニングを知ったのは、ゴールドウインに入社してからのこと。配属された二子玉川のショップにはスタッフ、顧客ともにトレイルランナーが多かった。ハマったきっかけは、トレイルの経験が豊富な先輩に誘われて出場した、17kmのレース。

    「最初のレースで華麗にゴールして……と言えたら格好いいんですが、実はコテンパンにやられました。後半、余力があったので下り坂を快調に飛ばしたら、レースの終盤に登り返しがあったんです。そもそもコースマップをチェックしていなかったのか、という話なんですが。最後は消耗しきってしまって歩くのもままならず、それこそ這うようにしてようやくゴールしました」

    この大負けレースが、鵜野さんの負けん気に火をつけた。もっとできることがあったはず、もっとうまく自分をコントロールできたはず。そんな思いがモチベーションとなり、すぐに次のレースにエントリー。レースに向けて休みの日に山を走るというトレーニングを重ねる中で、トレイルランニングの面白さに目覚めた。

    山を楽しむための手段として、トレランにハマった

    「トレイルランニングの醍醐味といえば、次々に移り変わる景色や土の感触、下りの爽快感など、魅力的な点はいろいろありますが、僕は登りの際の、ステップの一歩一歩に自重を感じられる瞬間が大好きです。こう考えてみると、トレイルランニングって山を満喫するための手段の一つなんでしょうね。結局、僕は自然の中で遊ぶことが好きなんです」

    第2回のSTYでは見事に完走するなど、トレイルでの経験を積んだ結果、「経験豊富なランナー&トレイルランナーをスタッフとして常駐する」というコンセプトを掲げたFLIGHT TOKYOのオープニングスタッフに選出される。ここのスタッフはいずれも、メンタル、フィジカルともに強いランナーだという。

    そんな鵜野さんの前職はサイクルメッセンジャー。大学時代、通学のためにロードバイクを購入したのだが、いつしか通学路の距離だけでは飽き足らなくなっていた。卒業後、「1日中自転車に乗っていられるから」という理由でメッセンジャーに。1日10時間でも体を動かし続けられるというエンデュランス系スポーツの基礎は、メッセンジャー時代に培われたものである。

        「大学時代からは趣味として登山にも出かけていて、ソロでもよく登っていました。自転車も登山もトレランも、出かける先々の四季を体で感じられ、自分のペースで自由に楽しめ、そして自分のスキル次第でその時々のシチュエーションを楽しめます。そういうところが僕にフィットしたようです」

        海外レースにトライアスロン、様々な経験をフィードバックしたい

        現在、山に入れるのは月に一度がせいぜい。お客様とイベントなどで走るチャンスは多いけれど、プライベートで山に入る機会は減ってしまった、と鵜野さん。それでも自分の経験したことや発見をたくさんの人とシェアできることは、今の自分にとって何よりのやりがいになっているという。

        「せっかくFLIGHT TOKYOという場があるのだから、トレランという文化をより深く、広く知ってもらうことが僕たちの役目。現在はウエアやギアの販売をメインにしていますが、これからはイベントやショップ発信の情報などソフト面をより充実させていきたいですね。この店のイベントをきっかけにトレランを知ってもらえて、末長く楽しんでもらえたら本望です」

          そういう鵜野さんが目標とするのは、トレランスタイルでの縦走形式のイベントの実現。リスク面を考慮して日帰りのツアーが多いけれど、山の本当の美しさは夕日と朝日にある、というのが鵜野さんの持論。トレランというフィルターを通して集まった人たちに、レースだけではない、山における多様な価値観を伝えたい。それをFLIGHT TOKYOの発信として実現できればと考えている。加えて、個人的な目標としてトライアスロンと海外の長距離レースへの挑戦を掲げる。個人として積み重ねたさまざまな経験を店にフィードバックすれば、山、自然、トレランとの向き合いかたはもっと多彩になるはず。それはトレランのシーンそのものを広げることに他ならない。

          目指すのは、生涯スポーツとしてのトレランの普及

          その先に見据えるのは、生涯スポーツとしてのトレランである。体力よりも経験値、と謳われるスポーツであればこそ、自分の体調や体力に合わせてトレイルを選定すれば、80歳になってもライフスタイルの一つとして続けられる。タフなスポーツである一方、そんな懐の深さを湛えているのがトレランの魅力なのだ。

          「丹沢を舞台にしたタフなレースがあるんですが、そこで70歳の男性ランナーと一緒になったことがあるんです。70歳という年齢にもかかわらず生き生きと楽しそうに走る姿が印象的でしたね。僕も彼のように80歳、あわよくば生涯現役を狙っています!」


          1. 鵜野貴行

            1983年、静岡県生まれ。大学卒業後、自転車メッセンジャーとして働いたことをきっかけに、身体を動かす面白さに目覚める。2011年ゴールドウインに入社後、当時の同僚に誘われてトレイルランニングレースに初参加。2013年よりTHE NORTH FACEのランニング専門店「THE NORTH FACE FLIGHT TOKYO」スタッフとして勤務。2013年にSTY、2014年にはUTMFを完走。その後はトレイルランニングと登山の要素があるファストパッキングに傾倒し、縦走大会やロゲイニングにも積極的に取り組んでいる。

          (写真 依田純子 / 文 倉石綾子)

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