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いつからかスポーツが一番になった

スポーツを一番に考える、SPORTS FIRST な想いを持った
ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

モチベーションは上がりっぱなし
矢吹沙樹

2022.11.25

秋分を過ぎたというのに、外秩父の山域は朝から夏のような強い日差しが照りつけていた。コロナ禍を経て2年ぶりに開催される『トレニックワールド in 外秩父 50km & 45km』のスタート地点となる埼玉県寄居町役場前の広場には色とりどりのウェアに身を包んだトレイルランナーが続々と集まってくる。その中にThe North Face Sphereに勤務する矢吹沙樹さんの姿があった。この日はロングの50kmに出走予定。彼女にとってこれまで経験した中で最長距離のトレイルランニングレースとなる。

ダイエット目的から100kmを走るウルトラマラソンへ

『トレニックワールド in 外秩父 50km & 45km』は、NPO法人小江戸大江戸トレニックワールドが主催するミドルディスタンスのトレイルランニングレース。秩父盆地を囲む山々の東側、外秩父と呼ばれる山域を寄居から越生まで駆け抜けるワンウェイレースだ。運営はボランティア主体でとてもアットホームな雰囲気。コースは所どころで車で行ける峠を跨ぐようにして繋がっているから、運営としてもエイドステーションが設置しやすい。ロング50km、ミドル45kmという距離ながら7箇所も設けられたエイドを利用できるから、初心者でも挑戦しやすいレースだ。

それでもトレイルランニングを始めてから1年に満たない矢吹さんにとっては最長レース。昨晩は眠れましたか?と尋ねてみると「全然、眠れませんでした!」という答えが返ってきた。しかし、その声はとても元気だし、顔は満面の笑みに溢れている。実際にはレースの緊張よりも、山を走る楽しみが勝っていることを物語っている。

そもそもはダイエット目的でジムに通い始めたことがきっかけで、彼女のランニング生活はスタートした。筋力トレーニング、有酸素と無酸素の運動を繰り返すサーキットトレーニング、そして低酸素室でのランニングが組み合わされた本格的なメニューを提供するジムだった。

「やるなら本格的にやろうと思ってそこで運動を始めましたが、そのうちそのジムがランニング専門になったんです。でも、ランニングって痩せるんですか?という疑問があった。そうしたらジムの方から、痩せますよ!やりますか?みたいな感じでまんまとのせられて(笑)」

こうしてトレッドミルを使った科学的なアプローチでランニングに取り組むようになった。運動の中心がランニングに移行して1年後、いよいよ10kmのロードレースに参加する。

「地元の友人たちと『越谷レイクタウンランニング』の10kmに出てみようとなりました。走り切れるかわからないけれど、ジムに通っているしやってみるかって。無事に1時間以内でゴールできて、速いじゃん!とテンションが上がりました」

初めてのレースを好タイムで完走することができて自信がつくと、ハーフマラソン、フルマラソンと順調に距離を伸ばしていった。ただ、ここからがモチベーションが枯れない矢吹さんらしいところ。

「フルマラソンが終わって次の目標ってなんだろうとなった時に、100kmいっちゃう?となりました」

今年5月に開催された、葛飾区柴又から江戸川沿いに北上し、茨城県五霞町までを往復する100kmのウルトラマラソン『柴又100K ~東京⇔埼玉⇔茨城の道~』に参加して見事に完走する。

「レースのYoutubeにもしっかり映りました(笑)。コロナに感染してしまいトレーニングでは走る距離を全然伸ばせなくて。レースでは70kmまでいけたらいいかなと思って臨んだんですが、100kmを完走できました。気合いですね。結果、14時間かかりました。泣きましたよ、嬉しくて」

そうしたランニングの延長で昨年からトレイルランニングを始め、目下の目標は来年の春に開催される富士山の周辺を巡る『ウルトラトレイルマウントフジ(UTMF)』(165.3km)と同時開催の『KAI』(69.2km)にエントリーして完走すること。この『トレニックワールド in 外秩父 50km & 45km』は、『KAI』にエントリーするために必要なポイントを得ることもできるので、ぜひとも完走しておきたいところだ。

明るい笑顔で50kmを走り通す

スタート時間が近づくとランナーたちがスタートエリアになんとなく集まって、45kmと50kmが同時にスタート。The North Face Sphereとオンラインストアだけで展開するフェルナンド・エルビラのポップなデザインが施されたウェアとシューズに身を包んだ矢吹さんも元気に出発した。

コースはロードを5kmほど進んで里山のトレイルを抜け、寄居橋を渡ると本格的な登りに入る。矢吹さんはボリュームゾーンの集団と一緒に無理せず進んでいる。トップとの差はおよそ20分ほど、順調な滑り出しだ。

23.8km地点の秩父高原牧場付近は、行楽日和でソフトクリーム目当ての家族連れで賑わっている。そんな長閑な光景の中を汗にまみれたトレイルランナーが一生懸命駆け抜けていく。この辺りに来ると集団も少しバラけてくる。矢吹さんは、ペースを落とすことなく11時20分頃に現れた。登りは大変でしたか?と声をかけると「下りの方が苦手なんで、登りは大丈夫です!完走できそうです!」と元気な笑顔で応えてくれた。

つぎの定峰峠(28.7km)には12時半頃に到着。エイドステーションでコーラとうどんを摂るが、長居はせず、すぐに走り出した。ここからはロードとトレイルが入り組んだ尾根道を進む。ロード部分は自転車に向いた峠道のためかロードバイクがたくさん走っている。

41.2km地点の見晴らし台で矢吹さんを待ち受ける。想定時間通り15時過ぎに現れた彼女は相変わらず元気そうだ。「下りが怖くて岩にしがみつきました!」と、途中のトレイル部分がかなりテクニカルだったことを教えてくれる。

苦手という最後の下りも順調にこなして、陽が落ちる前に無事ゴール。終わってみれば目標にしていた10時間を大幅に上回る9時間切りという好タイムだった。トレイルレースでの自身最長距離を完走し、来年の『KAI』エントリーのためのポイントも獲得した。

モチベーションを交換する

トレイルランニングを始めて1年足らずにも関わらず50kmものトレイルランニングレースを笑顔で走り通せるのも、毎週末のように山に通っているから。山を通じた友人もできて、この8月の休みは全て山に行くことに費やしたそうだ。そうしたモチベーションはどこから湧いてくるのだろう。

「THE NORTH FACE Sphereにいると、お客さまもそういうレースに出られていたり、初心にいつでも帰れるんですよね。自分がランニングをはじめたときの気持ちも蘇ります。 やはり初めてのハーフマラソンとかフルマラソン、10kmのレースでも、お客さまから『ドキドキしますね』ってお話を伺うと、あぁ自分もそうだったよなって。自分より経験値の高いお客さまからも刺激をもらって、『いつか一緒の練習会で会おう』と言ってくださったり。モチベーションは上がりっぱなしです」

ゴールドウインに入社する前は自分の経験を活かしてダイエットトレーナーをしていたこともあるという矢吹さんの目標は、接客を通じてスポーツの喜びを伝えることにある。

「スポーツの良さを伝えたい。嫌いや苦手を得意になってもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちがありました。アパレルに勤めた経験もあったので、洋服も好きだし両方取り入れてるゴールドウインはぴったりだなって。今までアパレルやジムで経験しなかったことを、ここではまとめて経験できていて、趣味にも繋げられていて、お客さまともより密な関係になれている。すごく楽しいです」

(写真 茂田羽生/ 文 松田正臣)

  1. 矢吹沙樹(やぶき・さき)
    埼玉県出身。中学校の3年間はソフトボール部に所属し、スポーツの楽しさを知る。高校時代にはソーラン節同好会に所属。その後、運動から遠ざかるも一念発起してダイエットのためにジムに通うように。ダイエットトレーナーを経てゴールドウインに入社し、今年から〈THE NORTH FACE Sphere〉に勤務。目下の目標は、2023年のKAIを完走すること。

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