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ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

感情を身体で表現する、フラダンスの奥深さ 福井美保

2022.07.29

ダイビングの仕事をきっかけに、宮城県仙台市から沖縄に移住したという〈THE NORTH FACE +沖縄・浦添PARCO CITY〉の福井美保さん。現在は同店の店長を務めている。

「21歳のときにダイビングのインストラクターの仕事を得て、沖縄に短期滞在しました。インストラクターの契約が終了したので一度、仙台に戻ったのですが、沖縄で暮らしたいという気持ちが強く、完全移住したんです」

海への憧れからダイビング・インストラクターの資格を取得したものの、長く続けることは難しいと転職を決意。インストラクター時代からギアの機能性に興味をもっていたことからスポーツアパレルの仕事を志し、〈THE NORTH FACE /HELLY HANSEN 沖縄アウトレットモールあしびなー〉に入店。2019年、〈THE NORTH FACE +沖縄・浦添PARCO CITY〉のオープニングスタッフとしてこちらの店舗に異動してきた。

こちらの店舗は取り扱いブランド数が多く、アウトレット店では取り扱いのなかったSpeedoやDANSKIN、icebrakerのプロダクトに触れられることがうれしい、と福井さん。

「とくにicebrakerは、スタッフ全員の熱量が高く、今年に入ってポップアップを展開したほど。『沖縄の気候にウールは合わない』と思われるかもしれませんが、天然素材のメリノウールならジメジメした気候でも衣服の中が常に快適。そうしたメリノウールの特性をリ私たちがアルに実感したことから、『沖縄こそ、メリノウール』というメッセージを店頭から発信したいと、ポップアップを行いました」

コロナ禍にオープンしたこともあり、長らくイベント開催を控えていたが、この春からショップイベントを少しずつ実施している。

「先日はSUNSKIのサングラスをかけての自然観察とビーチクリーンを行うイベントを、店舗の目の前にあるビーチで行いました。icebrakerのポップアップもしかり、スタッフのリアルな体験や体感を接客に生かせるイベントを積極的に行っていきたいと思っています」

沖縄で始めたパドルスポーツとフラダンス

「もともとインドア派なのでダイビング以外のスポーツ経験はなかった」という福井さんだが、HELLY HANSENがサポートしていたサバニ帆漕レースに強制的に参加させられたことをきっかけにパドルスポーツに取り組むようになった。夫がカヌーのパドルを作る仕事に従事していることもあり、現在は夫婦でアウトリガーカヌーも楽しんでいる。

「私以外のスタッフもみな、登山、釣り、ダイビング、SUPとさまざまな趣味を持っていますから、みんなで協力し合ってそれぞれがアクティビティに集中できる、そんな環境づくりを目指しています。スタッフ全員のワークライフバランスを保つことも店長の務めですから」

そんな福井さんのもう一つの顔は、キャリアの長いフラダンサー。15年ほど前、友人に誘われて軽い気持ちで体験してみたら、福井さんのフィーリングにぴたりと合い、ブランクを挟みつつも10年以上もフラダンスを続けている。

「言葉で感情を伝えることが得意ではないので、身体で自分を表現するフラダンスが合っているのかもしれません。群舞ですから踊り手みんなの息を合わせないといけないのですが、それが難しく、だからこそやりがいを感じます」

いまでは先生の助手としてクラス運営のサポートも担うほどだが、グループでは最年少。ひとまわり以上年上のダンサーもいるが、みんないきいきと踊っているそう。幅広い年齢の踊り手が一つのグループに混在し、同じ振り付けを踊れるところもフラダンスの魅力だという。

フラダンスはカヒコという古典とアウアナという現代舞踊の2つに大別されるが、福井さんが取り組んでいるのはアウアナ。カヒコほど形式にとらわれず、自然への感謝や愛を綴った歌詞をのせた楽曲にあわせ、自由な振り付けで踊ることができるのがアウアナだ。

「フラでは曲のメッセージや歌詞を身体で表現する振り付けを行います。奥深いフラの世界に踏み込んでいくにつれて、歌われている言葉どおりの表現ではなく、その裏に秘めたメッセージや切ない感情といったものを深く考えて踊るようになりました」

伝統や文化へ思いを馳せるきっかけに

ハワイ、そして沖縄のカルチャーに少しずつ興味を抱くようになったのはフラダンスのおかげ、と福井さん。福井さんの先生はフラダンスだけでなく、沖縄の言葉や文化、古くからのしきたりを教えてくれる語り部のような存在で、レッスンのたび、地元民も知らないような知識を授けてくれる。そんな経験から次第に沖縄の歴史や文化にも興味をもつようになった。

「ハワイと沖縄はもともと行き来する人が多かったようで、かなり昔からフラダンスのスタジオがあったと聞いています。面白いのは、そうした行き来のなかで沖縄とハワイの融合が生まれたこと。私の先生は沖縄の文化とフラダンスのどちらも自分のアイデンティティとして大切にしていて、沖縄民謡にのせてフラダンスを振り付けることもあります。他のスタジオでも同じようなことをやっていると思いますが、こういう独自性が沖縄のフラダンスの面白さではないでしょうか」

そういって披露してくれたのは、ゆったりとした曲調にあわせた優雅なフラダンス。愛する相手をプア・リリレフア(リーリーレフアの花)になぞらえて「いつまでも大切にします」と伝える愛の歌だそう。

「本当はこういうメローな曲は苦手なんです。つい速い曲を踊りたくなって、先生に『色気がたりない!』って注意されています。何年踊っても色気は身につきませんね(笑)」

(写真 田辺信彦 / 文 倉石綾子)

  1. 福井美保(ふくい・みほ)
    宮城県出身。地元・仙台にあるダイビングショップでダイビングの資格を取得。インストラクターとして沖縄に滞在したことをきかっけに、完全移住を決意。ダイビング業界からアパレル業界に転職し、〈THE NORTH FACE /HELLY HANSEN 沖縄アウトレットモールあしびなー〉入店。2019年、〈THE NORTH FACE +沖縄・浦添PARCO CITY〉のオープンと同時に同店に異動、2021年から店長に。現在は週に2回のレッスンのほか、ホテルのイベントでも披露するなど、自分らしいペースでフラダンスに取り組んでいる。

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