
バシッ バシッ バシッーーー午後のキックボクシングジムに大きな音が響く。軽やかにステップを踏みながらサンドバッグを相手にパンチやキックを繰り出しているのは、小林季里さんだ。

10分ほどが経った頃、グローブを装着してサンドバック打ちへと移った。小柄な小林さんが鳴らしているとは思えない、サンドバックから響く重く大きな音。その音を聞いていると、小林さんのパンチやキックがサンドバックの芯をとらえているのだということがよくわかる。






「SPORTS FIRST」を体現してきたこれまでの自分
〈THE NORTH FACE+グランフロント大阪〉に勤務している小林季里さんは、結婚を機に兵庫県神戸市から滋賀県大津市へと移り住んだ。片道1時間半かかる職場と自宅の往復に慣れてきた頃、ずっとやりたいと考えていたキックボクシングを始めたのは、新しい土地で打ち込める趣味が欲しい、友達が作れたらいいな、そんな思いだったそう。いつから始めたんですか? の問いに、半年ちょっとですねと聞いて驚いた。先ほどのミット打ちやスパーリングは、もっと長く練習している人のそれに見えたからだ。
「実は4歳から空手をやっていたんです。小さい頃から体を動かすことが大好きで小中高ではバスケもかなり本気でやっていて、バスケの練習が終わったらそのまま道着に着替えて空手に行く学生時代でした。本当にスポーツばかりやってきましたね」

「大学の時の夏休み、無人島キャンプ帰りに西宮ガーデンズにあるTHE NORTH FACEに立ち寄ったんです。その時に接客してもらったスタッフさんとお話する中で、『KIDS NATURE SCHOOL』の存在を知りました。アウトドアやキャンプ体験を通じて子どもたちの生きる力を育むという取り組みも、ゴールドウインのSPORTS FIRSTという考え方も自分がやってきたこととピッタリ重なって、THE NORTH FACEで働きたい、いつか『KIDS NATURE SCHOOL』に関わりたいと思うようになりました」

かくして入社後、〈THE NORTH FACE+グランフロント大阪〉に配属となった小林さん。現在はキッズコーナーと店舗のSNSの運用を担当している。
「SNSは入社当時からずっと担当をしていて、自分でモデルもやるしコーディネートを組んで写真を撮って文章も考えます。インスタを見たお客様から問い合わせがきたり、コーディネートを他店のスタッフから褒められるのも嬉しいのですが、何よりどうしたらアイテムが売れるかを考えるのが楽しいです」


「そもそも入社の理由が『KIDS NATURE SCHOOL』だったし、店長にトライしてみたら? と言われたことにも背中を押されて、リーダーをやらせてもらっています。初めてのイベントとして7月に豊能町の初谷渓谷でトレッキングをしながらの水遊びを企画していたのですが、コロナの影響で中止になってしまいました。それ以降は新規イベントが企画できていなくて…来年こそは山の麓でキャンプイベントを実現したいですね」

やりたい仕事に携わることができている今、全力で仕事を楽しむためにも休日はめいっぱい体を動かすことが小林さん流のリフレッシュ法。始めて間もないとはいえ、キックボクシングは欠かすことができない大切な趣味となった。

現在は週1〜2回ジムに通っているものの、本当は週4回はキックボクシングをする時間を確保するのが小林さんの目標だ。「もう少しコンスタントにジムに通えるようになって自分の強さに自信がついたら、大会にも出てみたいですね。その時が来たら、会長に出させてください! って直談判をしようと思っています」
- 小林季里(こばやし・きり)
1997年、兵庫県生まれ。びわこ成蹊大学スポーツ大学卒業後、ゴールドウインに入社し〈THE NORTH FACE+グランフロント大阪〉に勤務。キックボクシングのほかアウトドアスポーツ全般をこよなく愛し、同じ趣味を持つ夫とスノーボード、トレッキング、カヤックなども楽しんでいる。まだTHE NORTH FACEの店舗はないが外遊びの環境が豊富な滋賀県に「いつかフィールド店がオープンしたら嬉しいです」
(写真 桑島薫 / 文 桃井麻依子)