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いつからかスポーツが一番になった

スポーツを一番に考える、SPORTS FIRST な想いを持った
ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

いくつになっても“フリスビーばか”でいたい 南村明香

2022.01.24

〈THE NORTH FACE +グランフロント大阪〉に務める南村明香さんがここ8年来、夢中になっている競技が、アメリカ発祥のディスクゴルフだ。名前の通り、フライングディスクをバスケット型の専用ゴールに投げ入れ、何投でフィニッシュできるかを競うというものだ。本場では、屋外で適度な距離を保て、幅広い年代に楽しめるという特性上、コロナ禍で爆発的に競技人口が増えているとか。

子どものころからトランポリン、水泳、卓球とさまざまなスポーツにトライしてきた南村さん。高校時代はヨット同好会に所属し、3年間、ヨットに明け暮れた。それをきっかけに、短大卒業後にゴールドウインに入社。販売員としてHELLY HANSENに配属される。

「HELLY HANSEN、(当時ゴールドウインで扱っていた)Victorinox、そしてTHE NORTH FACEと、入社時から販売員一筋。いろいろなお客さまとコミュニケーションをとれるこの仕事は天職だと思い、ポジティブに取り組んできました。ところが、10年目を迎えた頃から自分のモチベーションが下がっているのを感じるようになったんです。

仕事とは別に、なにかひたむきに取り組めるものや新しいチャレンジを探していたんだと思います。ショップのスタッフと登山に行くことはありましたが、それでもなにか物足りない。オフが充実していないせいか、仕事においてもどこか迷いを感じるようになりました。環境をがらりと変えようかな、仕事をやめて旅に出てみようかな……そう考え始めたときに、ゴールドウインの同僚に『面白いからディスクゴルフをやってみない?』と誘われました」

他では味わえないディスクの浮遊感が好き

初めて出かけたのは、加古川の浜の宮公園にある日本屈指のディスクゴルフコース。見様見真似でフライングディスクを投げてみたら、これが予想外に面白かった。きれいに飛ばせたときの快感は、南村さんがこれまで味わったことがないもので、ディスクがきれいな放物線を描いて、すーーっと飛んでいく景色に引き込まれたという。つまるところ、コースデビューにして「これだ!」という天啓のようなものを受けてしまったのだ。

「とにかくうまく投げられるようになりたくて、オフの度に加古川のコースまで出かけて練習するようになりました。自宅のある大阪にはディスクゴルフのコースがないんです。面白いもので、ここで練習しているとプレーヤーが必ず声をかけてくれるんです。そうやって他のプレーヤーと少しずつ仲良くなって、下は小学生から上は70代まで、年齢もキャリアもバックグラウンドもさまざまなディスクゴルフ仲間ができていました」

そんな仲間たちに誘われ、いつしか試合にも出場するように。以前の店舗では「店長権限で試合に合わせてシフトを組むことも(笑)」あったそうで、今も年に5、6戦のペースでディスクゴルフを楽しんでいる。休日はもっぱらコースへ。

「ディスクゴルフを始めて8年、いまだにもっとうまくなりたいともがく日々です。うまくなるコツは、自分のなかでどう投げるかを具体的に思い描くこと、でしょうか。腕で投げるのではなく、全身の力を指先に伝え、投げたいイメージをディスクに投映するイメージです。鏡の前でのフォームチェック、きれいなフォームのイメージトレーニングは欠かせません。

それに加えて、どう投げるのかはもちろん、コースに合ったディスク選びやどうゴールを攻めるのか、風の影響をどう読むかという戦略性も必要になってきます。それからメンタルコントロール。試合の緊張やプレッシャーに打ち勝って練習通りのスローを貫くメンタリティも大切です。そういう複合性がディスクゴルフの面白さだと思っています」

ディスクゴルフが教えてくれたこと

ディスクゴルフを始めたことで仕事にもいい影響がもたらされている。職場はスポーツに集中して取り組める環境が整っており、周囲の誰もがスポーツファーストを理解してくれる。ディスクゴルフに取り組んで得られたものを仕事に反映する、そんないいサイクルができてきたと手応えを感じている。

「ゴールドウインの企業理念は『スポーツを通じて、豊かで健やかな暮らしを実現する』というものです。ディスクゴルフに夢中になったことで、ようやくこの理念が腑に落ちました。ここでいう“豊か”とは心の豊かさであって、オンとオフ、好きなことと仕事のバランスがとれることで心も豊かでいい状態を保てるんですよね。だからいまは毎日が充実しています」

現在は競技を多くの人に知ってもらいたいとディスクゴルフの魅力を積極的に身近な人たちに伝えている。

「ディスクゴルフがすばらしいのは、環境に負荷をかけないエコスポーツであること。ティーラインもバスケット型のゴールも設営・撤収が簡単で、原状復帰が容易です。公園や自然の地形をそのまま利用するので、競技のために環境に手を加えることがありません。おまけに、子どもから高齢者までが同じフィールドで楽しめるボーダーレスなスポーツで、両親、子ども、その孫と、3世代でプレーすることだって可能です。幅広い年代のプレーヤーがアウトドアのフィールドに集い、気持ちよくディスクを飛ばせる。いまの時代にフィットしていますよね」

おまけに競技人口が少ないので、コースでトッププロと遭遇した、あるいは知り合えた、なんてラッキーな実例も。プロの存在を間近にできるのもマイナースポーツの醍醐味かもしれない。

私には可能性しかない

ゴルフという競技の特性上、試合ではいいスコアを出すことが大切だが、それとは別にゴルフボールでは味わえない浮遊感を楽しんでほしい、と南村さん。

「ディスクゴルフで感じることは、自分の可能性は無限であるということです。もちろん年齢を重ねるにつれて体力は落ちてくるでしょう。でもディスクゴルフの場合は、風の読みやディスクの選択、コース戦略、スローの技術で体力の低下を補うことができます。自分の可能性を引き出してくれる、自分を信じさせてくれるディスクゴルフは、私にとってキラキラとした宝物のような存在。この先、いくつになっても大切にしていきたいと思っています」

  1. 南村明香(みなみむら・はるか)
    大阪府出身。高校時代、ヨット同好会に所属していたことをきっかけに、卒業後〈HELLY HANSEN〉に入店。以降、〈Victorinox〉、〈THE NORTH FACE〉と渡り歩いてきたベテラン販売スタッフ。8年前、フライングディスク競技(フリースタイル)に取り組むゴールドウイン社員に誘われ、ディスクゴルフを初体験。以来、“フリスビーばか”を自称するほど競技にのめりこみ、年間6戦ほどの大会に参戦している。現在の目標は「投げられなくなるまでディスクゴルフを続けること」

(店舗写真 桑島薫 / フィールド写真 田辺信彦 / 文 倉石綾子)

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