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Let’s begin KABEUCHI TENNIS
もう一度、壁打ちテニスから始めてみよう。 瀬間友里加 × 青島理佳(GOLDWIN)

2016.05.31

元プロテニスプレイヤー、瀬間友里加が壁打ちテニスのコツを伝授
近年の日本人テニスプレイヤーの活躍で、テレビでもテニスを観る機会が増えているせいか、今再び日本にもテニスブームが来ています。特に昔からテニスをしていた人で、テニス熱が再燃し、ボールを打ちたくてウズウズしている人も多いようです。でも「久ぶりにテニスをしたいけど相手がいない」、「いきなりコートに行く前に勘を取り戻したい」のもセカンドビギナーの特有の悩み。そんな人にうってつけなのが一人でも楽しめる「壁打ちテニス」です。今回は再注目されている壁打ちテニスのコツを、元プロテニスプレイヤーの瀬間友里加さんに教わります。壁打ちテニスには、実はちょっとしたコツがあるんです。

《LESSON1 ストローク》

壁打ちの最もベーシックな楽しみ方といえば、ストローク。壁に向かってボールを打ち、跳ね返ってきたボールをワンバウンドで打ち返す練習です。ところがいざやってみると分かりますが、これがなかなか難しい。普段のテニスでいえば“鉄壁のボレーヤー”と練習しているようなもので、オールコートのラリー練習よりも早いタイミングでボールが返ってきます。速いボールを打てば速く跳ね返ってくるし、コースを打ち間違えれば、自分が移動してボールを処理しなければなりません。映像では瀬間さんはいとも簡単にやっているようにも見えますが、正確にコントロールしながら打ち続けるのは、不慣れな人にはなかなか難しいのです。必要となるのは集中力。そして早いタイミングで構えるコンパクトなスイング。これは実際のテニスにも大いに役立つ練習なのです。

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    壁打ちテニスは、ボレーヤーと打ち合いをしているようなものなので、ボールは早いタイミングで跳ね返ってきます。そのためテイクバック(ラケットを引く動作)は、ラケットを引きすぎないで極力コンパクトに。腕だけで打とうとせずに、全身でリズムをつかみながら打ちましょう。
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    ボールを打つ時は、できるだけラケットの中心部分に当てて、ラケット面をボールに対して水平に。長くラリーを続けるポイントは、身体の正面より少しだけ外側に向かってボールを打つこと。真っ正面に打つと自分の手元の方にボールが返ってきてしまうので、意識的にラケットを構える位置にボールが返ってくるようにコントロールすると、ラリーが長く続きます。
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    打点は自分の身体よりも少し前。連続してラリーをするためには、コンパクトで早いテイクバックが必要になります。
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    軽く膝を曲げることで、フットワークを軽くしましょう。ガチガチに力が入ったり、棒立ちでスイングすると、ラリーが続きません。中上級者はスプリットステップ(壁にボールが当たる瞬間=相手がボールを打つ瞬間に、軽く両足でジャンプ)を入れると、ボールに対する反応を早くすることができます。

《LESSON2 ボレー》

壁打ちで意外と有効なのはボレー練習です。ボレーとはノーバウンドでボールを打ち返すプレーのこと。壁に向かって打ったボールをノーバウンドで打ち返すのは難しそうに思えるかもしれませんが、ストローク同様に早いタイミングで構えて集中することで、リズミカルで気持ちのいい練習になります。ボレーの時「ラケットを振りすぎている」とコーチに指摘される人は、壁打ちの練習をすることでボレーの感覚を掴むことができるようになります。コツはフォアとバックのボレーを交互に行うこと。壁打ちの特性で、フォアだけ、バックだけを打とうとしても、コントロールが難しいのでなかなか続かないのです。

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    ストローク同様にテイクバックは極力コンパクトに。力はほとんど必要ありません。跳ね返ってくるボールに素直にラケット面を合わせるだけで、ちょうど良いスピードのボールになります。ここでも必要なのは集中力。常にラケットの真ん中にボールが当たるようにしましょう。
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    壁打ちボレーのコツは、フォア / バックを交互に打つこと。ラケットを構えた身体の構造上、フォアボレーをするとボールは少し左側に飛びます。それをバックボレーで処理すれば今度は右側に返るので、またフォアボレーで返します(※右利きの場合)。これを繰り返すことでボレーのラリー練習になります。
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    脚は膝を軽く曲げてリラックス。小刻みなフットワークを入れることで、リズミカルにボールを処理できるようになります。
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    壁からの距離は近ければ近いほど、打ち返しのスピードが早くなるため難易度もアップ。最初は、サービスラインと壁の間くらいからはじめて、少しずつ近づいてみましょう。力まずに、「1、2、3、4」と心の中で数を数えながらやるとタイミングをつかみやすくなります。

《スマッシュ》

実際のテニス練習で意外とおろそかになりがちなのがスマッシュ。壁打ち練習の仕上げにスマッシュ練習もやっておきましょう。ボールを上から叩いて、一度壁の手前に打つと、壁に跳ね返って高い軌道でボールが返ってきます。それを同じように壁の手前にバウンドさせるように打つと、連続してスマッシュ練習を楽しめます。何度もスマッシュが続くと気持ちいいですよ。

10回続けばOK? 壁打ちは難しくて楽しい!

瀬間 久しぶりのテニスを壁打ちでやってみてどうでしたか?

青島 私は昔軟式テニスをやっていて、硬式は社会人になってから始めたんです。今日はテニスをやるのも久しぶりだったのもあるんですが、壁打ちは思ったより難しかったですね。何度か場外にも出しちゃったし(笑)。でも、だんだん楽しくなってきて、今はもっと本格的にテニスをやりたくなっています。

瀬間 壁打ちは私も昔よくやってて、今日は久しぶりにやりましたけど、結構難しいんですよ。ボールは速く返ってくるし、ある程度集中していないと全然続かない。続かないとつまらないし、あちこちにボールが飛ぶと早く疲れちゃうんですよね。

青島 そうなんですよね。簡単そうにも見えるんですけど。ちなみにプロの選手も壁打ち練習をやるものなんですか?

瀬間 人によって違うと思いますけど、やっている人はいますよ。今日私が改めて思ったのは、テイクバックを早くコンパクトにする練習になるし、コントロールの練習にもなるし、集中力を高める練習になるので、実際のテニスにも役立つなって。

青島 私の今の段階では3回とか5回続けるのがやっとでした。瀬間さんはきっと何回でも続くんでしょうけど、私みたいな素人は何回くらい続くのを目標にすればいいんでしょうか。

瀬間 まずは10回!じゃないでしょうか。それだけ続けば充実感もあるし、十分だと思いますよ。まずはそこから始めて、徐々に自分のハードルを上げていけばいいと思います。

青島 10回くらいだったら、私も目指せる気がします。でも久々にテニスを本格的に再開したくなってきたので、近所で壁打ちのコートを探すことから始めてみます!

  1. 瀬間友里加(せま ゆりか)
    1986年12月25日生まれ。7歳でテニスを始め、2001年には全国中学生テニス選手権大会シングルス優勝を果たす。高校卒業後の2005年にプロ転向。2010年は2月にマレーシアクアラルンプールで行われたフェドカップアジア/オセアニアゾーンGroup Iラウンドロビンでフェドカップ日本代表に初選出。2015年の全日本選手権を最後に現役引退。現在はゴールドウインのエレッセの販売促進としての活動のほか、コーチとしても活躍中。
  1. 青島理佳(あおしま りか)
    1990年9月11日生まれ。2013年4月にゴールドウイン入社。
    入社後は販売職として、西武池袋本店にて勤務中。担当ブランドはエレッセとダンスキン。
    テニスは軟式を小学校3年から始めたが、硬式テニスは社会人になってから。会社で誘われたのがきっかけに始める。社内の先輩方と対等に戦えるくらいまで成長したいと思っている。壁打ちは、中学生のころに(軟式で)やっていたことがある。
    今は主にテニスとホットヨガをやっている。

(動画 井上典慎 / 写真 古谷勝 / 文 武井幸久)

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