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注目のコトやモノを実現した想い

ショップやイベント、製品開発などに携わるヒトのこめられた想い、
ストーリーに迫ります

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北アルプスの懐に抱かれ、自分の究極を追いかけ続ける
伊藤勇介

2015.09.30

「アウトドアでの経験や体験を、ギアを通してたくさんの人にフィードバックしたい」

この夏、長野県に「THE NORTH FACE GRAVITY HAKUBA」が誕生した。白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳という白馬三山を見渡せる絶好のロケーションに位置し、ビギナーから上級者まで、アウトドア愛好家のニーズに応える多彩なラインナップを取り揃える。2階には絶景を前に一息つけるコーヒースタンドを併設、自然やアートを題材にした書籍を閲覧できるフリースペースも備えている。カリフォルニアの国立公園にあるビジターセンターを意識したという店舗では、四季を通じてアウトドアスポーツの魅力を提案すべく新製品のモニタリング(貸出)など、さまざまな取り組みを進めている。

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 白馬の「GRAVITY」店オープンにあたり、北海道ニセコの「GRAVITY」店から異動してきたのがスタッフの伊藤勇介さん。高校生の時に始めたマウンテンバイクをきっかけに山にのめり込んだという伊藤さんは、プロマウンテンバイカーやアウトドアガイドを養成する専門学校の出身。在学中からインストラクターとしてアウトドア・フィールドで生きていくと決めていた、筋金入りアウトドア・マンだ。︎
「僕が進学したのは、野外教育を専門に行う学科でした。その当時、ぼんやりと頭にあった進路は、自然環境を学ぶキャンプのプログラムを作ったり、グリーンツーリズムのイベントを企画したりする仕事。実際、学校の授業といえば森の中で自然について学び、マウンテンバイクで長距離をツーリング。そんな、毎日が夏休みみたいな3年間でした」

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アドベンチャーレースに賭けた学生時代

 そんな「夏休み」の最中に出会ったのがアドベンチャーレースである。先輩に誘われて、3日間に渡って行われる『伊豆アドベンチャーレース』に出場することになった。ナビゲーション、マウンテンバイク、シーカヤック、クライミングにロープワーク。多彩な種目から2つ以上を組み合わせ、チーム一丸となって道なき道をゴールに向かってひた走る。それが「伊豆アドベンチャーレース」である。
「卒業後、マウンテンバイクやカヤック、スノーシューのインストラクターになったとき、役に立つことが得られるかなと思って。出場することを決めたときは、あくまでも普段のトレーニングの一環、くらいの気持ちでした」
「とにかくきつかった」というレースだが生来の負けず嫌いの性格も手伝って、初出場にしてカテゴリー優勝を決めてしまった。 
「このレース以降、年間3、4レースに出場するようになりました。授業以外の時間はすべて、アドベンチャーレースのためになることに捧げて。お金もないし、体もボロボロ(笑)。トレイルランニングのレースもこの頃から出始めるようになったんですが、それもこれもひとえにアドベンチャーレースのため」

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体験を伝える、それが自分なりの「スポーツファースト」

 就職して残念ながらアドベンチャーレースに費やす時間はなくなってしまったが、いまでも暇さえあればトレイルを駆け巡り、アルパインクライミングの山行に出かけている。
「トレランもクライミングも、実はスポーツをやっているという意識がないので『スポーツファースト』という言葉は、僕には少しくすぐったい。どちらからというと『生活』という言葉がぴったりきます。山に登って帰ってきて、その山行を振り返り、『あのとき、ああいう判断を下したのはよかったな』とか、『次回はあそこを直そう』とか。こうやって一つ一つを積み重ね、自らの成長を実感するのが、僕の『遊び』です。『生活』と『遊び』が充実する白馬の暮らしは、いまの自分にいちばんフィットしていますね」

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 現在は登山ガイドの資格も取得し、いずれはガイドとして一本立ちしたいという伊藤さん。
「そんな僕がこの店でできることは、僕の経験やインプレッションを、ここを訪れた人に伝えていくこと。この店は登山者目線で見ても入りやすい店だと思うんです。モノを買う店というより、同じ遊びを志すひとたちが集まって情報を交換し合う場なんですね。そういう場所があることがみんなの安全なアウトドア・ライフに繋がっていくなら、それは店に携わる者としては最高の悦びですよね」
 店に立つ。訪れる人とコミュニケーションを図る。同じ山好き同士、話が弾みすぎることもしばしばだ。そうやって自分が持つ情報や経験を伝えて、誰かのアウトドア・ライフを少しだけ、充実させる。
「だから自分は究極の楽しみを追い続けます。その体験から得られた何かが、誰かの役に立つことがあるのなら、それが僕にとっての『スポーツファースト』なのかもしれません」

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伊藤勇介(いとう ゆうすけ)
1986年6月19日生・山形県鶴岡市出身。2008年(現)国際自然環境アウトドア専門学校i-nac卒業。学生時期にチームクルーに導かれ予想外にカテゴリー優勝してしまったエクストリームシリーズ奥大井大会からアドベンチャーレースにのめり込み、伊豆アドベンチャーレース・GEAR6などに出場。i-nac卒業後GOLDWINへ入社。入社後もトレイルランニング・ロゲイニングの大会に出場し続けたが、より判断の重要性と文句なしのノンサポート環境を得ることができるアルパインクライミングに魅力を感じ始める。現在はクライミングを手段とし、「その土地と一体になる」をテーマに登山活動を行っている。

THE NORTH FACE GRAVITY HAKUBA
長野県北安曇郡白馬村大字北城5930-1
☎ 0261-85-2855
営業時間:11:00~19:00(5月~11月)、12:00~20:00(12月~4月)

(写真 飯坂大 / 文 倉石綾子)

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