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ストーリーに迫ります

シーギアもタウンユースも、自由なスタイルで楽しんでほしい
加藤渉

2016.05.12

「みんなが何度も来て、楽しんで、集まるお店にしていきたい」

この春、オープンしたばかりの「MARINE & WALK YOKOHAMA」で、「HELLY HANSEN」の新店舗がスタートした。日本有数の港町・横浜の地は、1877年、世界初の防水装身具メーカーとして、ノルウェー人の商戦艦長、ヘリー・ジュエル・ハンセンが生んだブランドのショップとしてうってつけの場所。ここで店長を務めるのが加藤渉さんだ。海や山といったフィールド用ギアに留まらず、タウンユースとしてもブランドの認知度が上がってきているのを肌で感じている。

15年前には想像もしていなかった、普段着感覚で着れるHELLY HANSEN

「僕は入社15年目で、最初の8年ほど、HELLY HANSENの店舗にいました。その当時のブランドイメージとはまるで変わりました。HELLY HANSENというと、防水ジャケットを思い浮かべる方が多いと思いますが、海の塩水にも対応する防水機能は、このブランド独自のもの。そうした過酷な自然の中で命を守るシーギアとしてのコアな部分は変りませんが、もっと柔らかい、新しいラインが登場し、セレクトの幅が広がったんです」

その新しいラインというのが、加藤さんが着ている「ROYAL MARINE CLUB(R.M.C)」。海の歴史から生まれたワークウェアとして、オーセンティックなディテールにこだわる上質なラインで、中目黒のスタイルショップショップ「1LDK」のクリエイティブアドバイザーが、ディレクションを手掛けている。

「チャールズ2世というワーカーのはしりのような人をモデルに、彼が今生きていたらこんな服を着るんじゃないかというストーリー仕立てが面白いんです。デザインは、どんなものとも合わせられて普遍的。普段着感覚で着られます。以前、僕がHELLY HANSENにいた頃は、シーギアとして長く支えてくださる年配のお客様がメインで、こうしたラインができるなんて想像もできませんでした。若い女性の方の認知度も確実に上がりました。着るシーンも、海でヨットに乗るところから、ビーチに出掛けたり、河原でバーベキューをしたりと、汎用性が高くなりましたね。本格的なシーギアを川釣りでさらりと着る方もいて、海に行くなら海用、川では川用じゃなければいけないというルールみたいなものが取り払われてきているんです。ボーダレスで自由なセレクトは、まさに僕らが目指しているところです」

スポーツと遊びに境界線のない社風

元々やっていたスポーツは、サッカー。マリンスポーツと縁のある生活を送っていたわけではない。入社してから、HELLY HANSENを担当するにあたり研修を受け、海の面白さや厳しさを初めて知った。

「登竜門的に、ディンギーという小さな二人乗りの船を乗る研修があるんです。最初は操作を覚えるのに必死なんですが、慣れてくると、ハイクアウトといって、どんどんスピードが上がってくるんです。ヨットに乗るなんて、滅多にできない経験ですし、風を受けて動くのが気持ちよかったですね。海のことは、お客様から教えていただくこともあります。ありがたいですね」

中途入社で入ったゴールドウインには、スポーツを遊びとして楽しむ空気を感じている。

「サッカーも、野球も、キャンプも、みんな遊ぶ感覚というか、どんなアクティビティをするにしても、スポーツと遊びに境界線を引いていないんです。正直、行くまでは腰が重くなることもあるんですが、やって帰ってくるとすごく楽しいですね。研修も含めて、この会社に入らなければ経験できなかったことをたくさんさせてもらっています」

最近では、ブランドのデザイナーらと八景島で船釣りへ。海の壮大さを存分に味わった。

「朝5時に起きて海へ出て、のんびりと有意義な時間を過ごせたんです。壮大な海にいることが贅沢に感じられて、日常を忘れることもできましたし、癒されました。また行きたいです。全然、釣れなかったんですけどね(笑)」

ブランドの認知度が高まった今だからできること

より魅力的なショップ作りのために、実現させたいアイデアがある。ショップのオープンから店に立ち、女性やファミリーが想像に以上に多いのを目にした。

「そうした人に向けたワークショップをやっていきたいというのが、まずひとつ。そして、セーリングなどマリンスポーツのイベントも開いてみたい。とにかく、みんなが集まるお店にしたいんです。15年前に、僕がHELLY HANSENに出合ったのは、正直言って、ブランドにとって厳しい時代でした。その頃を知っている人間なので、個人的にリベンジしたい気持ちがあります。あれからアウトドアラインができ、今は、R.M.Cもあります。いろいろなお客様に手に取ってもらえるようになり、ブランドを取り巻く環境は一変しました。なので、チャンスはあると思っています。もちろん、そうした個人的な思いよりも、来てくれた方に楽しんでもらうことが最優先。楽しんでもらえたら、何度も来店してもらえます。そうすれば、おのずと結果はついてくる。そう信じています」

加藤 渉(かとう わたる)
1975年12月18日、群馬県前橋市出身。
小学から高校まではサッカー漬けの毎日。20代はスノーボードにはまり、シーズン期間は住み込みで働きながら楽しむ日々を送る。
上京後ファッションアパレルメーカーに勤務するも長く続けられる職場を求めGOLDWINへ転職。
入社後はHELLY HANSEN、THE NORTH FACEなど様々な店舗で店長を経験し、現在に至る。一児の父として子育てに没頭中。
自然の素晴らしさやアウトドア、ファッションを通じて、HELLY HANSENをより多くの人たちに愛されるブランドにすることを目標に
毎日をスタッフと楽しみながら模索している。

HELLY HANSEN MARINE & WALK店
神奈川県横浜市中央区新港一丁目3番1号 1階 E-113
☎ 045-228-9877
営業時間:11:00~20:00
HP:http://www.goldwin.co.jp/hellyhansen/
instagram:https://www.instagram.com/helly_hansen_marineandwalk/

(写真 MEGUMI(DOUBLE ONE) / 文 小泉咲子)

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