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いつからかスポーツが一番になった

スポーツを一番に考える、SPORTS FIRST な想いを持った
ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

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世界記録保持者は、自然体で泳ぎ続ける 田山香菜子

2020.02.27

マスターズのリレーで世界記録5つ、日本記録3つ、個人でも日本記録を1つ保持するスイマー、田山香菜子さん。輝かしい記録の数々も、本人曰く「出ちゃったって感じです」。拍子抜けするくらい軽やかな感想が出てくるのも、今は「楽しむことが最優先」だから。ストイックに泳ぎ込み、全国優勝もした学生時代とは違い、肩の力が抜け、いい距離感で水泳と付き合えている。

田山さんが水泳を始めたのは、2歳。小学校に上がる頃には、クラブの選手育成コース入り。小学3年生で初めて全国大会に出るなど、早くから才能を発揮した。でも、練習はさほど好きではなかったと笑顔で振り返る。それでもなぜ、頑張れたのか。そう尋ねて返ってきたのは、子どもらしい屈託のない答えだ。

「全国大会に出たら焼肉に連れていってあげる、携帯を買ってあげると、目の前にニンジンをぶらさげられたからです(笑)。地方出身なので、東京辰巳国際水泳場で泳げるのも嬉しかったですね。東京で遊べるし、ディズニーランドも近いので」

そう笑いながら話すが、自分でも認める負けず嫌い。普通なら遊びたい盛りの年ごろに、どれほどの努力を重ねてきたのだろう。努力の結果は、頑張っただけタイムが縮む喜びとして現れ、高校3年生のインターハイでは100m自由形で優勝する。

「あの時は人生で一番嬉しかったですね。でも、私は優勝候補ではなくて、まぐれなんです。最後の25mで横を見て、一番だってわかった時は、『みんなどうしたの!?』と思いながら、ゴールしました。そうしたら、会場のモニターに自分が映っているんです。優勝インタビュー、どうしようって焦りました(笑)」

競技復帰後は、無理せず楽しく、でも真剣に

大学でも仲間とともに水泳に打ち込み、かけがいのない時間を過ごした。新卒でスポーツ用品の卸会社に就職し、3年後、より水泳に深く関われる環境を求め、ゴールドウインへ。前職中は、月に数回、食べ過ぎたら市民プールに行く程度の頻度だったのが、ぐっと上がった。「泳げるやつが入ってきたらしい」という情報を聞きつけた社員に誘われ、マスターズ水泳のリレーチームに入ったのだ。

今は、大会に向けて、週2・3回、1回につき2時間かけて3000mほど泳ぐ。大学時代の練習量に比べれば半分というが、仕事をしながらこのボリュームの練習をこなすのは、並大抵のことではないだろう。しかし、ここでの答えも飄々としている。

「そうでもないんですよね。気持ちが赴くまま、プールに行きたい時に行っているだけなので。練習に行くと決めたら、その日は仕事を早く終わらせようとするので、メリハリがつくのはすごくいいんですけど、行けなかったらそれはそれ。次の日に行けばいいかなって思うだけです。大学までは水泳が“やらなきゃいけない”ことだったんですけど、今はそうじゃない。だから、泳いでいてもすごく楽しいです。食事制限もしていません。さすがに大会前は控えますが、お酒も飲みますし、甘いものも食べています」

一方で、大会という目標に向かっては真剣だ。チームメイトに迷惑をかけないように、きっちりコンディションを整え、モチベーションを高める努力は怠らない。でも、自分の気持ちに逆らってまでは泳がない。食べたいものも食べる。あくまで自然体。そうした田山さんのスタンスは、仕事をしながらでも高いレベルでスポーツを続けていくためにとても重要なことに違いない。

スイマーだからわかることを水着の企画開発に活かしたい

ゴールドウインでは、スピードなどアスレチックブランドの営業アシスタントとして働いている。「私の取り柄は水泳しかない」と謙遜するが、ストイックに練習してきた学生時代から、泳ぐことを自らに強いず、楽しめている今に至るまで培ってきた水泳の知識と経験は、田山さんにとって大きな武器だ。

「新規開拓の相手先が、セレクトショップなどスポーツ専門店でないと、水泳や水着に関する知識を持っている方がほとんどいらっしゃらないんです。そうした時に、私が実際に着て、泳いでみて感じたリアルな声をお届けすることで役に立てていると思います。また、フィットネス系の水着がいいのか、リゾート系のほうが向いているのか。お店のカラーに応じて、お客様の目線に合わせて提案することを意識しています」

小さい頃から、クラブや大会で仲間に会えることが、水泳を続けてきた大きな理由という田山さん。今でも練習会で下は小学生、上は50、60代のスイマーたちとのコミュニケーションの時間を大切にしている。人と繋がり、会話をすること。それは、営業職にも役立っているという。

「水泳人生で得た一番の財産は、人との繋がり。今も、水泳を通じていろんな世代の方と交流することが、取引先ごとにさまざまな年代の方と話すための勉強になっています。今は、営業としてしっかり経験を積む時期。知識を蓄えたら、ゆくゆくはスピードで水着の企画開発に携わりたいんです。今でも、試作品の着心地を開発者にフィードバックする機会があるんですが、自分が実際に泳ぐからこそわかることを、企画の立場として商品に活かせたら嬉しいですね」

  1. 田山 香菜子(たやま かなこ)
    1991年生まれ。茨城県出身。兄2人の影響で2歳から水泳を始める。高校3年生のインターハイでは、女子100m自由形で優勝。早稲田大学教育学部に進学後も、競泳部に所属する。ゴールドウインに転職後、マスターズ登録。2019年には、男女混合800mリレーなどで世界記録を5つ叩き出す。現在は、スピードやダンスキンなどアスレチックブランドの営業職に就いている。
  2. (写真 古谷勝 /文 小泉咲子)

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