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ゴールドウイン社員のライフスタイルに迫ります。

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テニスを知る、見る、参加する。
江口実沙 × エレッセ須藤裕太

2015.05.27

「江口選手には、いままでの日本人選手にはないスケールの大きさを感じた」とエレッセ事業部の須藤裕太さん。「エレッセのようなかわいいウェアでなければ、試合だって練習だってモチベーションがあがらない」と江口実沙選手。エレッセを通じて知り合った2人の、テニスにまつわるフリートークをお届けする。

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須藤 江口選手に初めて会ったのは、1年半前くらいでしょうか。もちろん、江口選手のことは知っていましたけれど、知り合いになったのは最近ですね。

江口 やりとりはもっぱらメールかラインですね。

須藤 既読スルーが10件続いたりしていますけどね(笑)。海外遠征に出ちゃったら仕方ないですよね。ところで江口さんはどうしてテニスを始めたんですか?

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江口 小学生のとき、運動したくて近所のテニスクラブに通い始めました。お稽古ごと感覚ですね。

須藤 じゃあ、子どもの時は楽しくテニスしていたんですね。いまは「楽しい」って感じじゃないでしょ?

江口 今も楽しいですよ。ただ、当時から普通に「楽しく」やりたかったんですよ。中学生になったら他の部活もやってみたかったし。でも、両親が本気になってしまって。「やるならやれ」って。

須藤 以来、テニス漬け?

江口 はい。思っていたのとはちょっと違うなって、ずっと思っていました(笑)。でも試合に出るようになったら、なんだか「楽しい」んですよ。やっぱり勝ちたい気持ちも出てきますし。以来、やめたくなったりすることもありますけれど、今まで続けてきていますね。

須藤 去年はぐんぐん、ランキングもあげて。今年の目標は?

江口 今年の目標はグランドスラムの本戦で戦うことです。

須藤 それに向けてなにか特別なトレーニングを組んだりするんですか?

江口 去年までよりは上の大会に出るように心がけています。もちろん、勝つのは大変ですが、自分のテニスのレベルがあがるし、大舞台で出せる力も変わってくるはず。心理的には、自分が下位になることが多いので、常にチャレンジャーの立場にいるんですね。戦いやすくはあります。

スタート時の心の持ち方でゲーム全体の流れが変わる

須藤 普段の生活で気をつけていることってあるんですか?食事とか?

江口 食事には気を遣っています。日本にいる時は野菜も採れるし、バランスのいい食事ができるんですが、海外遠征となるとどうしても外食が多くなって栄養も偏りがち。栄養士にまめにメールをしてアドバイスをもらい、食生活でも体調を整えるよう気を配っています。

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(Photo by Hiroshi Sato)

須藤 海外にいても同じようなトレーニング・メニューをこなすんですか?

江口 フィジカル・トレーニングは、専属のトレーナーをつけてテニスと同じくらいの時間を割いて取り組んでいます。とはいえ、大きい大会なら問題ないんですが、海外の小さな大会だと施設がそれほど充実しておらず、テニスコートしかないなんてことも。そうするとテニスの練習しかできなくて。それが1週間だけの話ならいいんですが、2週、3週と続くと後半はコンディショニングが落ちてきますね。そうならないように、日本にいる間、がんばって調整するんですが……。

須藤 そのほか、テニスのために心がけることってなんですか? たとえばメンタル面の調整とか?

江口 メンタルは……実はあんまり強くないんですよ(笑)。テニスの試合って、始まって最初の数ゲームの心の持ち方で全体の流れも変わってくるんです。とくに私は最初にゲームを取っていても「あんまりよくないな」って感じると大事なところで踏ん張れないし、逆にせっていても「今日はなんだか調子がいいな」って思うと、思い切ってプレイができる。要は、自分の気の持ちようみたいなところがありますね。

須藤 昨年の全日本選手権の決勝のときは、かなり緊張していたんじゃないですか?

江口 あの一週間はまずかったですね(笑)。

須藤 シードナンバーワンで、江口選手が優勝するだろうという前評判のなか、実際に決勝まで順調に勝ち進んでいました。ラケットメーカーの営業さんも「あんまり話しかけない方がいい」なんて言っていましたよ(笑)。「笑顔が硬い」って。

江口 終わった後に方々で言われました、「顔がヤバかった」って(笑)。決勝どころか、初戦からめちゃくちゃ緊張していました。第一試合の一球目なんてスルーしてしまって。リターンを打って、アウトだと思ったら返ってきちゃったんです、ポーンって。普通にとれたはずなのに、足が全然動かない(笑)。

須藤 それ、僕レベルですよ(笑)。

江口 一回戦でそれですから。周りにさんざん言われていたのもあるけれど、自分でも「勝ちたい」って思っちゃったのがまずかった。

須藤 勝ち進むうちにその緊張はほぐれるもの?

江口 一回戦よりはましになっていましたね。

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ロイヤルスポーツが持つホスピタリティのすごさ

須藤 緊張をほぐすコツとか秘訣ってあるんですか?

江口 ないです。緊張するのは仕方がない。考えないようにしていても、考えちゃいますから。うまいこと、折り合いをつけていくしかないんです。

須藤 周りの選手はどうなんですか? 対戦していて「この人は全然緊張していないな」とか、感じることもありますか?

江口 正直、自分のことでいっぱいいっぱいで、相手のことまで考える余裕はないですね。でも、みんな人知れず緊張しているんじゃないですか? だって会場の雰囲気全体がピリピリしていますもん。

須藤 全日本は特に?

江口 そうですね、海外のトーナメントより全然ピリピリしている。

須藤 全日本や天皇杯は格式も高いし、みんな一度は取りたいですからね。

江口 強い人はみな、一度は優勝していますから。

須藤 グランドスラムなんかは全然雰囲気違うんですよね?

江口 違いますね。

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須藤 ホスピタリティもすごいですよね。お祭りですよね。

江口 会場の広さも違いますしね。他の大会でもたまにあるけれど、ラウンジ内のご飯も充実しているし、練習時に使えるボールの数も他大会に比べて多い。選手一人一人にクルマがついていて、帰りたいときにいつでもホテルまで送ってもらえるんですよ。

須藤 予選落ちしたとしても世界200位くらいですから、アスリートへの敬意の表し方が違うんでしょうね。

江口 グランドスラムはどの大会もホスピタリティを競っているんで(笑)、どんどん待遇が良くなっている気がします。

須藤 出場するだけでもわくわく感が違うんでしょうね。全日本は修行というか、通らなければいけない道っていうところでしょうか。とにかく昨年は優勝できてよかったです。あのときの決勝を、僕たちは現場で観戦していたんですが、やっぱり江口さんが印象的でしたね。最初の1セット落としてしまったけれど、徐々にほぐれてきたのが傍目にもわかって。あとはエレッセのウエアを来てもらう前の全日本選手権のときも、すごい選手だなと強く印象に残っています。日本人離れしているんですよ、ショットのパワー、速さがね。男子みたいだって思った印象があります。あのときはまさかこの選手がエレッセのウエアを着てくれるようになるとは想像もしていなかった(笑)。

メンタルが重要なスポーツだから、ウエアの「かわいい!」が大事

——そもそも江口選手がエレッセと契約するようになったきっかけはなんでしょう?

須藤 初めは石井弥起コーチから連絡があったんです。彼はエレッセを着て全日本のチャンピオンになった方なんですが、「江口さんがエレッセのウエアを着たいって言っている」って。そこからおつきあいが始まりました。

江口 ラケットを変えたら、そのメーカーはウエアを作っていなくて。何でも自由に着ていいって言ってもらえたので、エレッセにお願いしたんです。だってかわいいから(笑)。

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(Photo by Hiroshi Sato)

須藤 ありがたいですね。

江口 かわいいは重要ですよ。かわいくないとモチベーションがあがらない。もちろんかわいいだけじゃなく、着心地や動きやすさも考えられています。個人的に、シャカシャカの生地よりもパイルのニュアンスやコットン風の着心地が好きなんですが、そういう商品も多いんですね。身体にフィットしたデザインも好みですね。プレイもしやすいですし。

須藤 試合着としては吸汗速乾性、サーブやストロークの動きを妨げない、身体への追随性を重視して作っています。江口さんほか、女子の選手はみな言ってくれるんですが、色やスタイリングで選手のモチベーションをあげるサポートができたらな、と。結果、前向きに選手が着てくれているのが、ぼくらのモチベーションにもなっていますね。

江口 私は基本的に好きなものしか着ないので(笑)。黄色とか多いですね。

須藤 全日本の決勝でも黄色でしたね。「勝負服」もあるんですよね?

江口 去年の秋ごろは、その黄色が「勝負服」でした(笑)。黄色、オレンジが好きですね。水色は好きなんですが、青はダメ。

須藤 みんな好みがはっきりしているんです(笑)。ほかにウェア選びで重視するものは?

江口 やっぱり、「かわいい」がいちばん大切かな。もちろん「動きづらい」、「使い勝手が悪い」ものは論外ですが。そういえば、前はすっごいフリフリのウエアも出していましたよね。私たちは「金魚」って呼んでいたんですが(笑)。

須藤 5年くらい前ですね。エレッセというブランドの方向性自体を軌道修正したこともあり、ああいうフリフリはもう作っていませんね。まあ、あのラインが競技者にものすごく支持されたかといえば、決してそうではなかった(笑)。

江口 ブランド自体が変わったんですか?

須藤 5年くらい前はもう少しライフスタイル全般にまつわるアイテムに力を入れていたんです。いまはテニスを主軸にしたスポーツ・ブランドとして開発を進めているので、フリフリで「かわいい!」というより、アスリートをしっかりサポートできるウエアを一般の競技者にも提供する、という方向で展開しています。その一環として、江口さんのようなトップ選手にも着ていただいているわけです。現在は海外でも4人のトップ選手に着てもらっていますが、テニスのアイコンを捕まえてテニス・ブランドとして認知させていきたいなって思っています。そんな背景もあって、ウエアのデザインもがらっと変わったんです。

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(Photo by (左)Hiroshi Sato, (右)Yoshinobu Terao)

江口 フリフリ時代は、さすがにこれは着られん!って思いました。着る人を選びますよね。

須藤 いまのデザインは、テニスに限らずランニングやちょっとアクティブに過ごす日には快適に着ていただけると思いますよ。かわいくて機能的ということで、テニス以外のシーンでもチョイスしてもらえるブランドになるといいと思っています。

江口 一般の方がターゲットなんですよね?

須藤 ターゲットは、上質でいいもの、自分に似合うものを知っている、テニスをライフスタイルにとりいれている方。カラーはトリコロールを基調にしています。昔からテニスに取り組んでいるブランドとして、テニスのロイヤルスポーツという側面を打ち出していきたいと思っていまして。そうそう、新しいお店もできたんですよ。『エレッセテニスクラブウィズウインザーラケットショップ』といって、昨日オープンしました。僕たち、いわゆるテニスショップが作りたかったんです。テニス・ライフスタイルを大事にしている人に向けた、テニスショップですね。いまのテニスシーンでは硬派なギアショップか、テニスウエアも扱っているチェーン店くらいしかないんですね。テニスにまつわるものを格好よく見せてくれるテニスショップを作りたかったんです。

江口 プレイする人を対象に?

須藤 プレイする方はもちろん、観戦を通じてテニスに興味を持ちはじめた方も対象です。グランドスラムも中継を見たいからって、全米オープンの決勝戦があった9月の新規加入者数は約15万件と、単月では開局以来の数字だったようです。

漫画でテニスを学ぶ? 『ベイビーステップ』の影響力

——そういう方々に向けてテニス観戦をもっと楽しむコツを教えてください。

江口 自分が見る時は目的があるというか、リサーチのために観戦するんですが、一般の方はどうなんでしょう。

須藤 僕みたいな一般レベルでいうと、選手がサーブを打つときに「次はセンターにいくんじゃないかな」とか、「向こうのリターンはそれを読んでいるのかな」とか、そこまで試合を読みながら観戦するとゲームが立体的に見えると思いますけどね。

江口 自分だったらこうするな、とか。

須藤 リサーチといえば、人気テニス漫画の『ベイビーステップ』の主人公は試合中、すごい量のメモを取っているけれど、あんなにデータを取っている人はいないよね?

江口 あんな時間の余裕はないですよ! 

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——須藤さんご自身は『ベイビーステップ』の中で、エレッセの担当者として実名で登場されていますよね? 漫画の影響力の強さを感じることってありますか?

須藤 少年漫画ではありますけど、大人がテニスというスポーツを学ぶとても良い教本かもしれませんね。とくに心理戦などはとてもリアルに描けています。テニス雑誌では「『ベイビーステップ』に学ぶメンタル強化の極意」みたいな連載なんてやっていたりしますから。いつか、主人公のようなノートを片手にコートに現れる選手も出てくるかもしれないですよね。

江口 手が震えて字なんて書けないと思いますよ(笑)。

須藤 観戦にはゲームを読み込むおもしろさがありますが、大会運営の裏側というか、今までは選手の間でしか共有されていなかった裏話などもドキュメンタリーの一つとして興味深いですね。たとえば報道でも、グランドスラム各大会の特色とかその運営の裏側とか、そういうものが紹介される時代になりましたから。グランドスラムは来場者向けのラウンジも面白かった。「ザ・社交界」みたいなものが垣間みられて、テニスはロイヤルスポーツなんだなって再認識させられました。 

——では、実際にプレイする魅力はなんでしょうか?

須藤 僕みたいな一般競技者の私見ですが、男女の分け隔てなく一緒に競技を行えるところがテニスの魅力かな。一つのコートの中でみんなが一緒に楽しめるのは、テニスならではだなって学生の時から思っていました。錦織選手の活躍で再びテニスに注目が集まっていますが、あらためてテニスを始めた、もしくは始めたいという方々に向けて、僕たちもテニスを楽しめる提案を続けていきたいと思っています。その一つが今回、オープンしたエレッセのコンセプトショップなんです。こちらでは、「ヘリテージ・ライン」といって街着にも取り入れられるようなクラシカルなデザインのラインも扱っています。店発信のブログ、インスタも始めましたし、ぜひご来店ください!

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  • 江口実沙(えぐちみさ)
    テニスを始めた年齢 : 8歳
    出身校 : 富士見丘高校 主将
    プロ転向 : 19歳
    現在の所属先 : 北日本物産

     
    Personal Data
    身長 :173 cm
    血液型 : O型
    生年月日 : 1992年4月18日
    星座 :おひつじ座

    Play Style
    利き腕 : 右利き
    ファア : 片手、右手
    バック : 両手
    得意なショット:フォアハンド

    好きな食べ物 : ヨーグルト

    Performance
    2014
    •全日本テニス選手権 シングルス優勝
    •ITF $50,000 Burnie シングルス優勝
    •ITF $50,000 Seoul シングルス準優勝
    •WTA Baku cup $250,000 シングルス ベスト8
    2013
    •全日本選手権 シングルス ベスト4

  • 須藤裕太(すどうゆうた)
    テニスを始めた年齢 : 15歳
    出身校 : 神奈川県立鎌倉高校 補欠
    社会人転向 : 23歳
    現在の所属先 : ゴールドウイン エレッセ事業部

    Personal Data
    身長 :176 cm
    血液型 : O型
    生年月日 : 1975年3月8日
    星座 :うお座

    Play Style
    利き腕 : 右利き
    ファア : 片手、右手
    バック : 両手
    苦手なショット:フォアハンド

    好きな食べ物 : ラーメン

    Performance
    2015
    ・エレッセテニス販売促進業務
    ・所課宴会幹事

(写真 濱田晋 / 文 倉石綾子)

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