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TIPS FOR FULL MARATHON 目指せ、自己ベスト更新!
サブ3ランナーによるフルマラソン攻略TIPS
木村豪文(GOLDWIN)

2015.11.01

北陸新幹線開業を機に、初開催されることになった「富山マラソン」。重要伝統的建造物保存地区に指定されている山町筋の町並みを抜け、立山連峰の大パノラマを眺めながらのランが楽しめるフルマラソンの大会に、多くの市民ランナーがエントリーしました。自己ベスト更新を目指しこの大会に出場した、サブ3ランナーの木村豪文さんに、レースの攻略法を伺いました。これからのレースシーズンに向けて、役に立つTIPSが満載です。

トレイルランニングに目覚めて、サブ3ランナーに

入社して10年、現在はTHE NORTH FACEの日本企画のシューズの開発に携わっています。最近手がけたのは、日本別注のロードランニングシューズ「ウルトラ レプルージョン」シリーズ。ラストから日本人向けに開発、エリートランナー向けのシューズです。実はこうしたカテゴリーのシューズはグローバルでもリリースしたことがなかったので、特に力を入れて取り組むことになりました。そんなこともあり今年4月まで、シューズの生産拠点であるベトナム・ホーチミン市に赴任していたんです。

高校時代は陸上部で3,000mSC(障害)走をやっていましたが、ラン(長距離走)歴はまだ10年ほど。大学生のとき初めてフルマラソンの大会に出場したのですが、そのときは4時間そこそこのタイムでしたね。入社してトレイルランニングに目覚め、当時はもっぱらトレイルを走って走力を身につけました。ロードはといえば、たまにハーフの大会に出てタイムを確認するくらい。それでもトレイルのおかげでタイムも徐々に刻めるようになり、2010年の東京マラソンで2時間48分を記録。ようやくサブ3ランナーの仲間入りをすることができたんです。

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この「ウルトラ レプルージョン」の開発をきっかけに僕自身もロードランニングに本腰を入れるようになりました。軽さと反発力、クッション性を兼ね備えた、エリートランナー向けのシューズですから、開発にあたってはザ・ノース・フェイスがサポートしているアスリートのみなさんに協力いただきました。僕がある程度走れないと、彼らからのせっかくのインプレッションもシューズに活かせませんから。ですから赴任中もロードの大会には積極的に参加していました。

スピード練習などを取り入れたことも功を奏し、昨年12月に出場したチェンマイマラソンでは東京マラソンのタイムを20〜30秒ほど縮めることができました。実は3位に入賞しまして、トロフィーと賞金もいただきました。海外赴任中に何をやっているんだと言われそうですが(笑)、これもひとえに「ウルトラ レプルージョン」のため。帰国してからはトレランも再開、先月は「UTMF」に出場しまして、久々のウルトラにも関わらず無事完走できてホッとしています。

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軽量ロードランニングシューズ 『Ultra Repulsion (ウルトラ レプリュージョン)』。 サブ3ランナー向けの 『Ultra Repulsion Race』(写真右) と、サブ4ランナー向けの 『Ultra Repulsion Ⅱ』(写真中央)

普段のトレーニングでの心がけ

月間の走行距離はおよそ200km、大会前は300km(週60km〜)を目安に走っています。平日は週に1、2回の割合で帰宅ランを取り入れており1日約15km。週末にロングを走る計算です。さらに週に1回はスピード練習としてインターバル走も行っています。1500m/5分程度を3本ほど、かなりきついですがこれが効くんです。普段の生活でトレーニング以上に重視しているのがストレッチとマッサージ。高校陸上部で日常生活におけるコンディショニングの重要性を体感したので、これは欠かさず行います。契約アスリートと一緒に走ったりするときは、彼ら独自のセルフケア方法を教えてもらったりしています。

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「セルフコンディショニングとして、ローラーを使ったマッサージをよくやります。首や腿、腰など疲労を感じる部分をほぐしたり、筋力のバランスを整えたいときに片足だけマッサージをしたりしています。」

食生活に関しては特にこだわりはないですが、出来合いのお惣菜はなるべく避けて自炊するようにしています。不思議なもので、自分で作るようになると自然に栄養バランスなども考えるようになるんです。こうして普段から体調を整えておくとレース前のコンディショニングが格段に楽になるんです。

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レース直前〜当日の過ごし方

フルマラソンの大会だったら本番2日前から、消化の悪い油ものやガスを発生させやすい生野菜の摂取を控え、内臓に負担をかけないようにします。その他は特に変わったことは行いません。トレーニングとしては大会1ヶ月前には本番と同じスピードでハーフの距離を走っておきます。さらに、自らの体調をチェックするため、本番の7〜8割のペースで42kmも走っておきます。が、1週間前になったら追い込む練習は行わないようにしています。コンディショニングの意味で軽く汗を流すくらいのトレーニングにとどめておくのがいいようです。

これはフルでもハーフでも変わらないのですが、レース当日の朝食はしっかりいただきます。11月開催のレースだとスタート前、体が冷えて筋肉が硬直することもあるので薄手のジャケットなどを携帯、スタートまで着用するようにしています。ジャケットのほかにはジェルを3本携行し、20km手前と30km 手前でエネルギーを補給します。1本は緊急用として持っておきます。初レースの方はぜひ、エイドでカロリー源となるものを摂取してください。レースは想像以上にカロリーを消費しますから、ハンガーノックに陥らないよう、エネルギー補給はお忘れなく!

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「疲れてくると目線が落ちて、上半身が沈んだ姿勢(写真左)になりがちです。フォームが崩れた状態で走ると怪我や故障にもつながるので、体幹を意識して正しい姿勢(写真右)を維持できるよう心がけています。」

走っているときは正しいフォームの維持に気を配ります。特に上半身と目線がぶれないように!目線があちこちを泳ぐと疲れやすくなりますので、常に自分の5m先の路面を見て走ります。レース終盤は疲労のためにフォームが崩れがちです。着地の仕方も常に意識するといいでしょう。また、自分と同じくらいのペースで走っているランナーを見つけて予定ペースの目安としてもいいでしょう。

レース後のコンディショニング

疲労回復のため、身体のケアはしっかり行いましょう。まずはドリンクで体内の失われた水分を補います。食事は特に炭水化物とタンパク質をしっかりと摂取し、走る前の状態に近づけて疲労を抜きます。筋肉の疲れは水風呂→お風呂に交互につかるのが効果的。これを3回ほど繰り返します。

レース翌日はどっと疲れがでますが、あえて軽いランニングでアクティブレストを心がけます。30分でも1時間でも、自分の体調と相談しながら走ってみてください。

レースの装備

トレイルランニングのレースと異なり、軽装で済むのがロードのいいところ。本番では腕の動きを妨げず、かつ汗抜けのよいノースリーブのトップスを愛用しています。汗止めになり日差しも防いでくれるバイザーもマスト。秋口とはいえ日差しは思いのほか強いのです。シューズはもちろん、「ウルトラ レプルージョン レース」。これにかかとをしっかりホールドしアーチの位置を正してくれる「スーパーフィート」のインソールを使います。ソックスはマメを防ぐために滑りにくくできているランニング専用のものをおすすめします。

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「ウルトラ レプルージョン」は日本人向けに抜群のフィット感やはき心地をかなえるべく、およそ2年をかけてサンプルアップ→ラスト修正を重ねた力作。レースに必要な軽さと、クッション性や衝撃吸収性という相反する要素を一足のなかに実現することができたと自負しています。「ウルトラ レプルージョン レース」はサブ3ランナー向け。フォアフット着地の際、前足部が沈み込まないような設計になっています。クレイドルプレートという硬めのプレートをミッドソールにあしらい、反発力と安定性、衝撃吸収性を高めました。サブ4ランナーには「ウルトラ レプルージョンⅡ」を。「ウルトラ レプルージョン レース」をベースに、アウトソールの仕様やアッパーの素材を変えて足あたりよく仕上げました。

富山にはGOLDWINのテクニカルセンターがあるのですが、会社の仲間も独自エイドにてボランティアスタッフとして参加し、ランナーたちを応援してくれました。沿道で仲間を見つけることを楽しみに、42.195kmの旅を満喫してきました。

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  2. 木村 豪文(きむら ひでふみ)
    1981年3月1日、青森県八戸市出身。高校時代は陸上競技部に所属し3,000mSCを専門として走る日々を過ごす。大学卒業後ゴールドウインに入社、直後トレイルランニングの世界に出会い山を走る厳しさと楽しさに衝撃を受ける。2007年、当初からの希望であったTHE NORTH FACEのフットウエアチームに加わる。2012年、UTMB (100mile)を26時間22分で完走。その後、日本企画として初めて着手したロードランニングシューズの開発を主目的としてベトナムのシューズ開発工場に入り約1年3ヶ月常駐。以後、ロードランニングに注力する。2年以上の歳月をかけて完成したシューズを着用したチェンマイマラソン(2014年・タイ)では、2時間48分22秒の自己ベストを更新。ロード、トレイルを問わず歩き、走ることを楽しむ人が、より快適に歩き、走れるフットウエアを開発することが生涯の希望であり目標。現在は、もうすぐ歩き始める子供と過ごすことが休日の楽しみ。

(写真 八木伸司 / 文 倉石綾子)

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