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登山装備をアレンジ。意外と始めやすい沢登りの道具ガイド

2019.12.05

登山の経験はあっても、沢登りに行ったことはないという方も多いのではないでしょうか? 少し敷居の高い沢登り、実は大部分に登山道具を流用できるんです。どんなギアが必要になるのか、ここにご紹介!

今回教えてくれるのは、〈THE NORTH FACE+ トキハわさだ店〉の馬場健人さん。6月から11月のオンシーズン、沢のコンディションが良ければ休日のほとんどは九州の沢登りへ行くという馬場さんに、沢登りで使用するギアをご紹介いただきました。登山の延長で利用できるものも多く、ギアは揃えやすいそうです。

「沢登りの装備というのは、実は登山で山へ行く時とほとんど変わらないんですよね。もちろんシューズが違ったり、行く場所によって少し持ち物は変えていますが、基本的には登山の装備と同じになります」

バックパック:ファントム38(THE NORTH FACE) 
「冬山登山と兼用のためバックパックは大きいものを選んでいます。防水ではないのですが、頑丈な作りが気に入っています。ウエストのハーネスや雨蓋を取り外すことができるので汎用性が高い。ショルダーのクッション性がいいのでストレスを感じることもないですね」

ヘルメット:グリベル・ステルスヘルメット
「ヘルメットは軽さ重視です。素材はポリカーボンで、200gくらいです。もちろん強度も大事なのですが、今はまだリスクの高い難所には行きませんし、これで十分」

グローブ
「100均で購入したゴムグローブです。デザインもかっこよくていいんですよ。水がどんどん抜けていくし、グリップ力もあります。岩にしっかり引っかかってくれるので安心感があり、全然滑りません。」

MAPとコンパス
「ルートは記憶していたり、GPSを使うことの方が多いですが、予備として遡行図(沢の地図)と地形図、コンパスを持ち歩いています。遡行図は先輩に教えてもらった『九州の沢と源流』という書籍に記されているものをコピーしています」

予備道具
「虫除けや胃腸薬、ヘッドライトやナイフ、この辺は登山の時と変わりません。この他にお湯も常備。ずっと水に浸かっていると体が冷えるので、休憩時に飲むようにしています。携行食は足りなくなると危険なので、余るくらい持っていくようにしています」

ロープ、ハーネス、スリング
「ロープは、懸垂下降しなければいけないような場所や、高さのある滝や岩場を登るときに使います。でも僕の場合は基本的に危ない沢登りはしないので、あまり使いません。クライミングのようにリードで登るのではなく、プロテクションをかけて、あくまで補助ロープとして使うことが多いです」

沢靴
「今回の沢はほとんどが岩場でしたので、アウトソールがアクアグリッパーになっているモンベルのサワークライマーを使用しました。グリップが効いて、足を取られることなくクライミング感覚で登れます。苔がある沢では岩場とは異なる滑り方をするので、フェルトのソールをオススメします。アウトソールがフェルトの沢靴は、キャラバンのKR3というモデル(写真下・左)。苔が多いところなのか、岩場がメインなのか安全のためにも見極めが大事ですね」

レインシェル:クライムライトジャケット(THE NORTH FACE)
「ゴアテックスを使用しているウエアのなかでも軽くてしなやかで気に入っています。ただ、止水ジッパーのため、内側に水が入ると膨らんで重くなってしまうんです。なんとかならないかと考え、内ポケットに穴を開けて水が抜けるよう沢登り用に工夫しました」

ショーツ&タイツ:バーサタイルショーツ(THE NORTH FACE)、パフォーマンロングスタイツ(C3fit)
「バーサタイルはストレッチ性はありませんが、強度が高いので傷などを気にせず登っていけます。タイツはC3fitのパフォーマンスロングタイツ。岩で削れたときも修理してもらいまして、かれこれ5,6年は使っていますがまだいけそうです(笑)。修理すると愛着も湧いてきますし、すぐに買い換えるんじゃなくて限界まで使いたい。ネオプレインのゲイターをつける人も多いですが、個人的には寒さが気にならないし、肌を出さなければ大丈夫と考えて、このスタイルでやっています」

サンダル&ソックス
「サンダルはアメリカのブランド、ベッドロックサンダルのものです。ソールはビブラムのメガグリップ。しっかりグリップしてくれるので、滑りにくいです。シューズ同様、グリップ力を重視します。ルナサンダルでもよかったんですが、人と被りたくなくて(笑)。沢までのアプローチが長いところではトレランシューズで行きますが、なるべく荷物は少なくしたいので、アプローチが短くて下山がスムーズなところでは大体このスタイルで行動します。ソックスはモンベルのkamico。紙でできていて水抜けが良いので快適です」

バイブル:『九州の沢と源流』
「九州の沢について、これほど詳しく書いてあるのは今も昔もこの本だけなんです。廃盤で今はプレミア価格がついています。僕にとってはバイブルのようなものですね。今日訪れた沢についてもこの本から知りました」

特別な道具が必要なのかと思いきや、意外にも一般的な登山の装備と基本は変わらない沢登りのギア。とはいえ慣れない水場は危険も多いので、最初は経験者やガイドの方に同行してもらうなど安全対策には十分な配慮を。普段の登山道具に少し工夫を加えて、沢登りに挑戦してみてはいかがでしょうか?

  1. 教えてくれたひと…馬場健人
    1989年生まれ。福岡県糸島市出身。中学・高校では陸上の長距離、社会人になってからはマラソンに打ち込みサブ3を達成。沢登りに目覚めてから、月に数回九州の沢を巡っている。更なるレベルアップを目指し、厳しい沢にも挑戦中。4月から大分県のTNF+トキハわさだ店に勤務。環境担当に抜擢され、店舗での環境への取り組みも発信している。

(写真 丹野篤史 / 文 高橋知彦)

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