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スポーツを楽しむコツ

スポーツ・アウトドアの魅力や、ウェアのメンテナンスなど、
スポーツを楽しむコツを紹介します。

HOW TO スノーアクティビティ
春の白馬栂池をスノーシューでハイキング
山岳ガイド 林信之×片山恵(THE NORTH FACE GRAVITY白馬店)

2016.04.12

世界各地からパウダースノー愛好家が集まる白馬は、長くスノーアクティビティが楽しめることでも知られています。中でもスノーシューハイキングは、大人から子どもまでがテクニックいらずで楽しめるから、天候が安定してくる春先からゴールデンウィークまでこそおすすめ。
白馬在住歴40年、国際山岳ガイドにしてベテラン山スキーヤーの林信之さんが、スノーシュービギナーの「THE NORTH FACE GRAVITY」スタッフ、片山恵をガイドします。

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    《LESSON①自分なりのルートを作れる、スノーシューの面白さ》

    ツボ足で雪の上を歩いた事がある人はわかると思うけれど、スノーシューの魅力はとにかくこの機動力です。登りに関してはスキーのシールと比べても遜色のない威力を発揮しますからね。登山全般に言えることだけれど、「歩く」というのは山での行動の基本になるわけです。そして冬場の歩行をがっちりサポートしてくれるのが、スノーシューというわけです。

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    普段は立ち入れないヤブの中を歩くことができるのは、スノーシーズンならではですね。雪が降ればあたり一面がフィールドになります。スノーシューを履いてそんな場所をガツガツ歩ける自由さこそ、この時期の醍醐味ですね。

    多少地図が読めるようになったら、目的地まで自分なりのルートを作るという楽しみもあります。そのラインが想像以上に良かったり、道中に面白いものを発見したり、そんなときは喜びもひとしお。そういう点を考えるとスノーシューの遊び方は山登りに近いですね。だからお出かけの際はぜひ、地形図やGPSを持っていってみてください。

    《LESSON②雪の野原で自然観察》

    雪の野山では、冬ならではの自然観察も楽しみのひとつです。たとえばアニマル・トラッキング。親子連れのうさぎ、雪面に残されたシカの二本爪、尻尾を引きずった跡があるのはネズミ。雪の上に残された野生動物の痕跡を観察し、これは誰の足跡だろう、なんてのんびり考えながらハイキングできるのもスノーシューの良さです。急斜面にはニホンカモシカがいるし、5月に白馬乗鞍の山頂まで出向くとクマに遭遇してしまうこともあるので注意が必要です。

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    今日は栂池高原スキー場のゴンドラに乗って、山頂駅から栂の森方面を歩いたんですが、ブナやミズナラ、ダケカンバの落葉樹の林は、厳しい雪山とはまた違った美しさがあるでしょう?栂池自然園方面に抜ければ、標高1800mの山並みを見ながら広大な雪原をハイキングできるのだけれど、こういった様々な地形を歩く事が山をより深く知ることにつながります。

    《LESSON③スノーシューをもっと深く楽しむために》
    スノーシューを楽しむ場合は、冬用の登山靴より動きやすくて暖かいスノーブーツがおすすめです。移動中は意外に汗をかくので、ゴーグルよりもサングラスがいいですね。突然の降雪に見舞われることもあるから、コンロやクッカーよりも、保温性のあるポットに暖かい飲み物を入れて持参しましょう。

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    スノーシューは一歩一歩、足を持ち上げて歩くのではなく、後ろを少し引きずるように歩くのがコツです。登りの際はなるべくゆるいラインを選んでください。メーカーや機種によっては足への負担を軽減できるヒールリフトという機能が付いているので、急斜面では積極的に使ってみましょう。下りは、スキーのように滑り降りることもできます。急斜面は意外にスピードが出るから、それも楽しみのひとつです。ちょっとした段差を飛んでみても、パウダーなら痛くないんですよ。

    くれぐれも気をつけてほしいのは雪崩斜面です。遊ぶエリアはバックカントリーに近いけれど、スノーシューハイキングでビーコンを持っている人は少ないですからね。雪崩の危険箇所については必ず入山前によく確認してください。

    (語り手 林信之)

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    初めてのスノーシューを体験して

    片山 今日はありがとうございました。スキーのインストラクター歴15、6年の私ですが、スノーシューは今日が初めて。スキーブーツで歩くのに比べると断然軽くて動きやすくて、楽々とパウダーを歩けることに驚きました!

    林 あそこまで登ったら滑りたくなるでしょ?

    片山 確かに滑りたくなりましたが、ブナ林を観察しながらゆっくり歩くこともとても新鮮でした。滑るときは障害物と思っていた木が、歩くときは目印になったり、話のネタになったり。

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    林 白神山地のブナ林を知っている人も、小谷村のブナ林に驚嘆するくらいだからね。向こう(白神)は保護されているから中まで入ることはできないけれど、こっちは中まで歩き回れるんだよ。広葉樹はいろいろあるけれど、ダケカンバはその形も面白くて観察にはうってつけだね。

    片山 スノーシューをする際のロケーション選びのコツってあるんですか?

    林 雪が降ったり風が強いときは林や森のなかがいいね。暖かいし、静かで神秘的な雰囲気が味わえるから。逆に天気がいいときは眺望のいい場所がおすすめ。ゴンドラの山頂駅からだと、成城(大学)小屋から天狗原の方まで足を延ばすと小蓮華や白馬岳がキレイに見えます。八方池はアルペンの雰囲気があるし、遠見尾根からは鹿島槍が見渡せるんですよ。

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    片山 やっぱり地形を知っていると楽しみかたも変わりますよね。

    林 スノーシューはバードウォッチングや植物観察など自然観察の趣味を持つ人に便利なツール。それに加え、移動の速度がゆっくりだから地形を読む練習もできます。ただし、雪山の場合は去年と今年でも印象はまったく異なるし、降雪量で見え方も変わるから、「ざっくり」読むのがポイント。
    それからこれはスノーシューに限らずですが、当日はきちんと朝食を摂ること、行動食は食べきらないで下山するまでなにかしらを残すようにしておくこと。それが気持ちの余裕につながります。上級コースを歩くようになったら、ツェルトや雪洞を掘るための道具を持っているとさらに安心です。

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    2. 林 信之(はやし のぶゆき)
      白馬山案内人組合に所属する日本山岳ガイド連盟国際ガイド(UIAGM 国際山岳ガイド)。「林ペンション」を経営しながら主に後立山連峰を中心に活動。温厚な人柄にファンも多い。北アルプス遭難対策協議会救助隊隊員。
      林ペンション
      〒399-9301 長野県北安曇郡白馬村北城9464-13
      TEL 0261-72-4724
      HP:http://outdoor.geocities.jp/hayashipension/
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    2. 片山 恵(かたやま めぐみ)
      THE NORTH FACE GRAVITY 白馬店の店舗スタッフ。
      2000年から、スキー好きが高じて白馬に通い続けスキーインストラクターに。冬以外の白馬にも魅了され、2010年からは通年を通して白馬で暮らすように。通年を通してアウトドアに関わり、白馬の魅力を多くの人に伝えて行きたいという想いで、THE NORTH FACE 白馬店へ。
      最近はスキーだけではなく、山登りをはじめ多くのアウトドアアクティビティを趣味に、アクティブな生活を送っている。

    (写真 飯坂大 / 文 倉石綾子 / 協力 林ペンション)

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